40代本気の仮面ライダー
アニメ『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』を見て思う。
「仮面ライダーになりたい」――そう言い切る主人公は、もう若者ではない。
40代で社会的立場もある「大人」が、それでもヒーローを目指す。そんな無茶で、滑稽で、でもどこか胸が熱くなるアニメが始まった。
東島丹三郎が、幼い頃からの夢――「本物の仮面ライダーになる」ことを諦めずに追いかける姿が描かれる。
だが、彼が目指すのは「ごっこ」ではなく、本気で悪を倒す“現実の仮面ライダー”である。
丹三郎は、かつて子どもの頃に胸を焦がした“1号ライダー”の魂を胸に、トレーニングに励み、時にボロボロになりながらも信念を貫いていく。
その傍らには、同じく夢を抱く仲間・ユリコ(通称タックル)や、伝説的存在であるやたら強いV3風メンバーやライダーマン風店長も登場する。
懐かしのヒーローたちへのリスペクトと、現代的な「中年の再挑戦」というテーマが見事に融合している。
筆者自身、原作は未読のまま、アニメから入った。こういった“初見もの”を手に取るのは珍しいのだが、第一話を見た瞬間に「これは面白い」と直感した。想像通り、いやそれ以上に、この作品は熱い。
『#東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』第5話「僕にもブイスリーやらせてよ」のあらすじ&先行カットが公開!(画像5枚)#東島ライダーhttps://t.co/5V0ZafJ59k pic.twitter.com/anM0BEyoDg
— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) October 29, 2025
何より心をつかまれたのは、「おじさんが本気で仮面ライダーを目指す」という一点だ。
単なるノスタルジーではない。少年の頃に憧れたヒーロー像を、大人になってもなお捨てきれない――その姿が、滑稽でありながら美しさえ?あるやもしれない。
アニメでは、懐かしの電波人間タックルやV3のオマージュも姿を見せる。
そして驚くべきことに、“ショッカー”までもが実在しているという世界設定は、この「リアルな仮面ライダー世界」が、ファン心をくすぐってやまない。
そして、視聴を進めるうちに、筆者の中でも“ある願望”が膨らんでいった。
――あのライダー、出てこないだろうか。
そう、それは、私が唯一リアルタイムで見た『仮面ライダーBLACK』、そして続編『BLACK RX』である。
南光太郎が体現した“孤高のヒーロー像”は、特別な存在であるのだが、本作の舞台は“ストロンガー”までの、いわゆる「昭和ライダー黄金期」をリスペクトしている。
そのためBLACKの登場は難しいだろうとわかってはいる。
それでも、スカイライダーやスーパー1、ZXらを飛び越えてでも、やはり心のどこかで期待してしまう。
けれど、この作品が描こうとしているのは「過去のライダーたちの再登場」ではない。
丹三郎が象徴するのは、「ヒーローを見て育った世代が、今度は自分自身の手で立ち上がる物語」である。
つまり、過去作の栄光を借りるのではなく、「憧れを自分の現実に変える」物語なのだ。
先日、ライデンフィルムに打ち合わせに行った時に、EDに使用されているタコ焼きライダーの実物を触らせていただきました🐙✨本当にタコ焼き実物大サイズで、手脚の紅生姜は別パーツ。むちゃくちゃかわいかったです…グッズ化希望します!(撮影・SNSへのポスト許可済みです)#東島ライダー pic.twitter.com/in2w76K3md
— Cindy Yamauchi (@cindy560a) October 29, 2025
“時を超えろ、空を駆けろ、この地球のため―”
あの頃、テレビの前で拳を握りしめた少年たちは、今や仕事や家庭に追われる大人になった。それでも、心のどこかで「変身したい」と思っているのかもしれない。
『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』は、そんな“かつての少年たち”へのタイムカプセルのような作品だ。
ヒーローに憧れた記憶を笑わずに、むしろ誇りとして再び胸に宿す。年齢も現実も関係ない。
信念と夢を貫く限り、人は誰だって“ライダー”になれるし、夢を見続けることが俺達のファンタジーなんだから・・・