「逸材」棚橋弘至、最後の夏
この夏、レスラーとして最後のG1となる男がいる。
太陽の天才児・棚橋弘至。
新日本プロレスのリングに、幾度となく希望の光を差し込んできたこの男が、最後のG1 CLIMAXのリングに上がる。
G1 CLIMAX 35――それは、”終わりの始まり”であると同時に、”もう一度、夢を見せる”最後のチャンスだ。
今、女子レスラーたちは“美しく終わる引退”を選び始めている。
心も体もまだ戦えるうちに、余力を残して花道を歩く。それもまた尊く、美しい。
だが、男子レスラーはどうだろうか。多くの場合、勝てなくなり、若手に敗れ、過去の栄光を引きずりながら、最後は静かに、姿を消していくことも多い気がする。
棚橋弘至はどうだろうか。
何度も何度も、ブーイングを浴びながらも、低迷していた新日本を背負い、再建し、ここまで引っ張ってきた。
プロレスの”ど真ん中”で、真っ直ぐに戦い続けてきた“愛してまーす!”の男は、レスラーであり続けながら、社長となり、新たな道へと進もうとしている。
棚橋弘至“現役最後のG1CLIMAX”!
スペシャルインタビューをYouTubeで緊急公開!コチラから
⇒https://t.co/5A0lJ2yHHJ#G1CLIMAX35 #棚橋弘至 pic.twitter.com/gLtmRiFGmg— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) July 18, 2025
そして「最後のG1」、記念出場――そう言われればそうだ。
全盛期を知る者なら、今の身体が“わがままボディ”に見えるかもしれない。
足も、腰も、肩も、満身創痍。チートデーが増えても仕方がない。
何度も裏切るように裏切られる自分の体を、それでも信じてリングに立ち続けた男だ。
けれど、棚橋弘至は、生まれながらにして“疲れを知らぬ太陽”だった。
ストイックになりきれず、甘いものに手を伸ばし、ジャンクフードにに目を輝かせ、それでもリングでは誰よりもストイックだった。
そんな男が、最後のG1で、最後の優勝を目指すというのだ。
誰が否定できるだろう?
G1を背負い、東京ドームのメインを取り戻し、新日本を守った“希望の男”が、「最後にもう一度」と願うことを。
G1 CLIMAXは、過酷を極めるため、たとえ1勝もできずに終わる可能性もある。
それでも、それでも、いや、むしろ、そのボロボロの姿こそが、今の棚橋弘至を証明するのかもしれない。
リング上で、どれだけ打ちのめされようとも、顔をゆがめ、膝を引きずろうとも、彼が、「まだだ、まだ終わらんよ」と拳を上げるその瞬間、きっと観客は立ち上がり、「たーなはしっ!」と叫ぶ。
~昨今、下の名前で呼びあう違和感しかない観客コール。アントニオ猪木、藤波辰爾、長州力、橋本真也、武藤敬司――そしてオカダ・カズチカ、内藤哲也。その名を叫ばれる者は、プロレス界に“歴史”を刻んだ者だけだ。
そして棚橋弘至もまた、「棚橋」と名字で叫ばれ続けてきた一人である~
彼の代名詞、スリングブレイドが炸裂すれば、会場は歓喜に包まれるだろう。
その後に続くハイフライ・フロー――それはもはや“技”だけでない“祈り”であり“願い”であり“未来への宣言”にも見える。
「俺は、疲れちゃいない」
「新日本プロレスは、今が全盛期、もっともっと俺の手で上げていく」
“ニュージャパン・ライジング”
そう叫びながら空を舞う姿を、誰が見たくないだろうか。
このG1 CLIMAX35――それは勝敗の記録以上に、「棚橋弘至」という男の生き様を見届ける、魂の物語だ。
もしかしたら、1勝もできないかもしれない。
かつて見せた“新日本のエース”としての姿は、もうないかもしれない。
だが、彼がリングに立ち、ロープに手をかけ、立ち上がる姿だけで――その背中を見上げるだけで、我々は何度でも、希望を信じることができる。
『G1 CLIMAX 35』が怒涛の開幕!
タイチが地元で大奮戦も、棚橋がハイフライフロー3連発で白星発進!
非情に攻め込むザックを、成田が“地獄の断頭台”で逆襲勝利!!7.19北海きたえーる大会結果https://t.co/QgTgJdxg0p#G1開幕 pic.twitter.com/VSaRB3Q1qs
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) July 19, 2025
そして、迎えた最後のG1開幕戦では、敗者復活ガントレットマッチで勝ち上がってきたタイチとの1戦。
20分を超える激闘の末、ハイフライフローで勝利し、「ちょっくら優勝してきます!」の定番フレーズで大会を締めた。
引退を決めた男が真夏の祭典を締めくくるフィナーレが実現するのか、要注目!!