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【はじめの一歩】Round1500 着弾 “人のままでは・・”

はじめの一歩
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まさかの千堂連続ダウン

破壊力抜群のパンチを武器に、幾多の強豪をなぎ倒してきた千堂武士。

だがその拳が、ついに絶対王者リカルド・マルチネスに届いたことで、相手も彼の威力と距離感を身をもって知ることとなった。

試合序盤、リカルドはあえて温存していた切り札──必殺の右ストレート──を放たず、千堂の圧力を受け止めていた。

だが、ラウンドが進むにつれ、ついに、リカルドの右が火を噴いた。しなるような軌道から繰り出された一撃が、頑丈を誇る千堂の顎を正確に撃ち抜く。

観客が息を呑む中、その衝撃は一瞬で全身を貫き、千堂はリングに崩れ落ちた。

誰もが驚くダウン──それほどまでに、リカルドの右は異次元の威力を持っていた。

だが千堂は、そこで終わる男ではない。

「たかが一発やないか」と自らを奮い立たせ、すぐさま立ち上がる。視線はまだ死んでいない。彼の脳裏には、病院で試合を見守る祖母の姿が浮かんでいた。

病室のベッドから必死に声援を送る祖母を元気づけたい、その思いが彼の足を再び前に進める。

千堂は距離を詰め、拳を振り抜く。打ち返すたびに、場内はどよめきに包まれる。

しかし、絶対王者はやはり絶対王者だった。

カウンターのタイミングを見極めたリカルドが、再び鋭い右を叩き込む。二度目のダウン──それは千堂の気力までも削ぐような衝撃だった。

 

コーナーで見つめる鷹村守は、そんな千堂の姿に複雑な思いを抱く。

心の中で千堂へ問いかける「人のままで絶対王者に立ち向かえると思ったのか?」と。

勝負の厳しさと、千堂の純粋な闘志。

 

その両方を知る鷹村だからこそ、痛いほどに感じる現実がそこにあった。

千堂はなおも立ち上がるも、リカルドの壁は高く、厚く、冷徹だ。

この挑戦は千堂に何を残すのか。リング上の空気は、ますます張り詰めていく!!