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G1覇者TAKESHITAが年内IWGP世界ヘビー挑戦の可能性!?

新日本プロレス
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先延ばしはただの機会損失

 真夏の最強戦士決定リーグ「G1 CLIMAX」は、新日本プロレスの歴史と伝統が詰まった最高峰の舞台である。

その過酷なリーグを、わずか2度目の挑戦で制したのが“ジ・アルファ”ことKONOSUKE TAKESHITAだった。

決勝の相手は“極悪暗闇王”EVIL。ダーティーファイトを武器に、新日本マットで最もブーイングを浴びる存在を力でねじ伏せた。

リング上に立ったTAKESHITAの姿は、まさにG1覇者にふさわしい風格を備えていた。

 身長と体格を兼ね備え、リング技術も申し分ない。そして何より、新日本プロレスの所属レスラーとなった事実は、彼に新たな物語を与えた。

通常ならば、誰もが手放しで歓喜し、エース候補として大歓迎するシチュエーションだろう。だが現実には、ファンの反応はやや複雑である。

 なぜなら、TAKESHITAにとっての本拠地はあくまでアメリカ・AEWである。

世界の舞台でトップを張り、ケニー・オメガやオカダカズチカらといった超大物と肩を並べる存在。

その彼が新日本に所属したところで、「新日本は二番目の選択肢ではないのか?」という疑念を抱くファンは少なくない。

 つまり「所属」とはいえ、AEWでの立場が優先されるのではないか。

新日本のために全てを懸けるのではなく、あくまでキャリアの一部として利用しているだけではないのか。

そうした冷めた見方が、一部のファンの間に確実に存在する。だからこそ、彼のG1優勝にも単純な拍手喝采が巻き起こらないのだ。

 分かる人にだけ分かってもらう話だが、かつて矢吹丈と金竜飛の関係を想起させる。

生い立ちも環境もまるで違い、太刀打ちできないと分かっていながらも「こいつにだけは負けてはいけない」という感情を燃やす矢吹の姿。

それは、新日本がAEWに対して抱くプライドと重なる部分があるのかもしれない。

 G1優勝者のデスティニーは、一昨年までは東京ドーム・1.4におけるIWGP世界ヘビー挑戦権だった。

しかしTAKESHITAは「年内での挑戦」を望んでいるという。これは大きな意味を持つ。

だが、ファンの熱量や期待感は時間とともに薄れていく。

ビッグマッチは旬を逃してはならない。だからこそ「先延ばしは機会損失」という言葉が、いま新日本に突き刺さる。

 他団体を見ればその重要性がよく分かる。

NOAHは切り札カードを惜しまず、すぐにKENTA対丸藤正道という夢の一戦を提示した。

WWEも、引退間近と思われたジョン・シーナを温存せず、サマースラムでコーディ・ローデスとの大一番を実現させた。

 だからこそ、新日本も動きを早めるべきだし、ファンが最も望むのは、熱が冷めないうちに決まるIWGP戦。

賞味期限ギリギリのタイトルマッチを4カ月も待たされるのは、正直誰も望んでいない。

 では、TAKESHITAの挑戦相手は誰になるのか、現王者はザック・セイバーJr.だ。

コロナ禍の日本に腰を据え、言葉の壁を超えてファンと向き合い続け、昨年ついに完全開花したテクニシャンだ。新日本の厳しい日々を共に過ごしてきた功労者でもある。

 そのザックから、突如現れた“アメリカンジャパニーズレスラー”が王座を奪うとすれば、それは何とも切なさが殺せない。

 TAKESHITAが「シンデレラストーリー」として美談化され、東スポ大賞を狙うかのようなシナリオが描かれるのは、どうにもよくない。

むしろ、新日本が誇る矜持は「他団体にMVPを奪われても、真の闘いを先行させる」ことにあるのではないだろうか。

ザックが正面からTAKESHITAを止めるなら、それこそ新日本の看板を守る象徴的な一戦となるだろう。

 おそらく組まれるとしたら、舞台は秋の神戸ワールド記念ホール、あるいは両国国技館が有力だ。

歴史的なG1覇者のIWGP挑戦を、ドームに温存せず秋に実現させる――それは新日本にとって大きな転換点となる。

 そして、ファンが注目するのは「誰がTAKESHITAを止めるのか」だ。

海野翔太に浴びせられるブーイングとは違う、よりヒール色を強めた存在として受け止められつつあるTAKESHITA。

その流れを止めるのはザックか、生え抜きの新世代レスラーか。それとも彼がさらに突き抜け、G1覇者としてIWGP王者まで登り詰めるのか。

 G1を制したTAKESHITAは、いま最も注目を浴びる存在だ。しかしその評価は賛否入り混じり、無条件の歓迎とは程遠い。

AEWと新日本、二つの舞台に揺れる立場、ファンの期待と不安、そして新日本が抱える“主役を誰に据えるのか”という根源的なテーマ。

 だからこそ、この秋のIWGP世界戦は単なる王座戦以上の意味を持つ。

新日本がプライドを守るのか、それともジ・アルファが全てを飲み込むのか。

先延ばしは許されない、夏から秋へ、新日ファンの視線は夏から秋に全集中している!!