陽キャの目覚めたジェラシー
今年の元旦から続く“OZAWA大フィーバー”は、団体を超える勢いを生み出し、NOAHの会場を連日満員に押し上げた。
デビュー間もない若きスターが巻き起こした熱狂は、これまでのNOAHの価値観を一変させ、リング上もバックステージもOZAWAを中心に回っているといっても過言ではない。
だが、その流れに今夏、風穴を開けたのが拳王である。
反骨心をむき出しにし、夏の戦いで流れを止めたが、その拳王からGHCヘビー級のベルトを奪い取ったのがKENTA。
実に11年ぶりとなる戴冠劇は、かつてのNOAHを知るファンにも衝撃を与え、団体の歴史を再び動かすこととなった。
その陰で、長年NOAHを背負ってきた清宮海斗の存在は、ある意味で埋もれかけていた。
だが清宮は沈黙を選ばず、N-1 VICTORYを目前に控え、清宮はついに首脳陣やOZAWA本人へ、自らの生の感情をストレートにぶつけたのだ。
NOAH!去年までの清宮推しはどこに行ったんだ!
皆んなOZAWA、OZAWAって!
前年度覇者なのに、
ポスターだって端っこじゃないですか!今年のN-1自らの力で優勝して
次のポスターでど真ん中にのってやる!!#noah_ghc pic.twitter.com/cTyFjDg04Q— 清宮 海斗 (@noah_kiyomiya) August 25, 2025
「てめぇ、コノヤロー!」といったプロレス特有の罵声ではなく、自虐とユーモアを交えつつも爽やかに、しかし確かな嫉妬心を表現する姿は、従来の清宮像とは一線を画していた。
これまで彼は団体の未来を担う若きエースとして、常に真っ直ぐで正々堂々とした姿勢を貫いてきた。
だが今回は違う。OZAWAの存在感に押し出され、自身の立ち位置が揺らぐ中、心の奥にくすぶるジェラシーを笑顔とともに吐き出したのだ。
この率直な姿は、むしろ多くのファンに共感を呼び起こしたかもしれない。
象徴的だったのは、N-1のメインビジュアルでの扱いだ。
昨年の覇者でありながら、清宮の姿はポスターの上部に横顔で“とりあえず”配置されている印象にすぎない。
中央には現王者KENTA、そしてその次は、やはりOZAWAが大きくフォーカスされる。
団体の流れがどこに向いているのかは明白であり、清宮にとっては屈辱的な現実であった。
だからこそ、彼は言葉を選ばず感情をさらけ出した。
「自分だってまだNOAHの中心である」という強い思い。
それをリング上の勝敗だけでなく、生身の人間として吐露したことに大きな意味がある。
現在の流れから、二連覇を果たしても序列が変わる保証はない。
それほどに今の熱狂はOZAWAを中心に広がり、ファンの視線はKENTAや拳王といったベテランにも注がれている。
だが、その中で敢えて自らの弱さや嫉妬をさらけ出した清宮の言葉は、むしろ彼を再びリングの中心に押し戻す原動力となりうるだろう。
プロレスは単なる勝敗の世界ではなく、選手が背負う感情や、リング上に立つ意味が観客に伝わってこそドラマが生まれる。
清宮がぶつけた明るいジェラシーは、ファンに「やっぱり清宮を応援したい」と思わせるだけの力を持っていた。
悔しいんです!
チクショー!
これ自分も座って撮りたかったです!
チクショー!#noah_ghc #ALLTOGETHER https://t.co/zlXSjy32jj— 清宮 海斗 (@noah_kiyomiya) August 26, 2025
OZAWA旋風に揺れるNOAHにおいて、清宮の存在は決して過去のものではない。
むしろN-1を通じて再びその価値を証明し、新時代のリングに自らの居場所を奪い返す可能性を秘めている。
N1二連覇という偉業に挑む姿はもちろん、そこに込められる彼の感情や意地こそ、今年の夏の最大の見どころとなるだろう。
清宮海斗の巻き返し――それは、単なる一選手の復権ではなく、OZAWA一色に染まるNOAHに新たな色を加える闘いでもある。
団体の未来を決するN-1のリングで、彼がどんな物語を紡ぐのか、要注目!!