新日本外国人旋風
2025年も残り2か月余り、世界最大のプロレス団体WWEが、グローバル化の波をさらに加速させている。
アメリカ本国はもちろん、日本でもABEMAでの配信や両国国技館でのハウスショー開催など、かつてないほどの存在感を示している。
そんな中、日本のファンにとって特に注目すべきは、WWE女子戦線をリードするイヨ・スカイと、久々にリング上で相まみえた“女帝”アスカだ。
NXT時代から世界を席巻してきたイヨは、いまや完全にWWE女子部門の中核的存在。
一方、アスカは長年にわたりWWE女子戦線の象徴として戦い続け、イヨとの対峙は“日本女子レスラーの歴史”そのものを象徴するものとなっている。
さらに、日本に戻ると調子を上げる“キング・オブ・ストロングスタイル”SHINSUKE NAKAMURAも健在。
新日本プロレス時代からのカリスマ性と華麗な打撃技術は、いまもなおファンを魅了してやまない。
だが今、WWEで最も勢いを見せているのは――“元・新日本プロレス常連外国人”たちである。
RAW、SMACKDOWN問わず、リングを暴れ回る彼らの存在感は圧倒的だ。
まず筆頭は、今なおRAWの中核に陣取る“ジャッジメント・デイ”のリーダー、フィン・ベイラー。
彼こそが、新日本時代にバレットクラブを結成した初代リーダーであり、“プリンス・デヴィット”としてジュニアヘビー級戦線を席巻した張本人だ。カール・アンダーソンや、ファレらとともに、ユニット戦略の新時代を築いたその発想力は、WWEでも遺憾なく発揮されている。
そして、先日にはタッグ王座戦でAJスタイルズとの激突が実現するエモーショナル展開が発生。
AJはベイラーの後を継いで二代目バレットクラブのリーダーを務め、オカダ・カズチカらと新日本マットで名勝負を連発した男。
かつての“初代vs二代目”バレットクラブ対決が、海を越えWWEのリングで再び火を吹いた。まさにプロレス史の継承と進化を象徴する一戦だったと言えるだろう。
【WWE】AJスタイルズが最後の日本ツアーで貫禄勝利 来年〝引退〟のスーパースターに特大の歓声|東スポWEB #WWEhttps://t.co/3opOuOocMM
— 東スポ プロレス格闘技担当 (@tospo_battle) October 17, 2025
さらに勢いを見せているのが、ソロ・シコア率いる新ユニット「MFT(マイ・ファミリー・トライブ)」。
驚くべきことに、この軍団のメンバーは全員が元・新日本常連外国人であり、その筆頭に立つのが、トンガ3兄弟の長男タマ・トンガだろう。
新日本ではBULLET CLUB OGとして反逆を掲げ、激闘を繰り広げてきたが、WWEでは家族の絆を前面に出した“血統派レスラー”として存在感を発揮。
さらに、元・ジェフ・コブとして知られるJC・マテオも加入。
新日本時代のパワーファイターぶりに加え、現在はフェイスペイントを施し、よりどう猛さを増している。
MFTは、サモア系と新日本育ちのパワーファイターたちが融合した異色ユニットとして、WWEの勢力図を塗り替えつつある。
そして今、RAWを揺るがしているのが、WWEのトップ・オブ・トップ、セス・“フリーキン”・ロリンズを裏切り、ザ・ビィジョンを乗っ取ったことで、一気にメイン戦線の主役に浮上したメンバーたちだろう。
その背後にいるのは、名参謀ポール・ヘイマンであり、かつてのブロック・レスナーを想起させる圧倒的な存在感も感じるブロン・ブレイカーははWWEの新時代を切り拓こうとしている。
そして、さらに見逃せないのが、ブロンソン・リードだ!
新日本時代は“ジョナ”として活躍し、レインメイカーオカダ・カズチカを破る大金星を挙げた男だ。
当時は短期参戦ながら、重厚なファイトと強烈なインパクトを残した。
派手さこそないが、タンクのような突進力と野獣の試合運びで、ブロンソンは今やWWEヘビー級戦線の“台風の目”と化している。
振り返れば、新日本プロレスは外国人レスラーにとって“登竜門”であり、世界へ存在を気付かせるドリームステージだ。
ベイラー、AJ、タマ、コブ、ブロンソン・・・いずれも日本マットで磨かれた技術とメンタリティを武器に、世界最大の舞台で花を咲かせている。
今後、彼らがWWEの主役へどこまで食い込むのか、そして、その背後にある「新日本プロレス育ち」という共通項が、いかなる物語を紡いでいくのか。
世界のプロレス地図の中心には、今なお“新日本プロレスの遺伝子”が息づいていると言えるのではないだろうか!!