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【はじめの一歩】Roumd1505 絶望の権化 “こんな千堂見たくない”

はじめの一歩
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王者ココロここにあらず

もはや千堂武士は、かつての“浪速の虎”ではなくなってしまったのか。


リングの上で、王者リカルド・マルチネスの強烈な左一本に晒され、反撃の糸口すら掴めず、ただ丸くなり、クリンチに逃げる姿があった。

 

闘志の炎を燃やしていた男が、今や防戦一方のボクサーに見える。

 

リカルドもまた、その姿に失望したのか、王者の眼差しはもはや全ては対戦相手に向けられてはおらず、雄大な大阪城の姿を思い浮かべ、静かに心を遠くへと飛ばしていた。

かつての千堂ならば、そんな無関心を許すはずがない。リカルドの拳を受け止め、真っ向からぶつかることでしか己を語れなかったはずだ。

 

ウォーリーが壮絶な打ち合いの末に散り、リカルドに一矢報いんとしたあの熱戦。その魂を引き継ぐはずだった千堂が、なぜ今、立ち尽くしているのか。

 

ボクシングという舞台で勝てない現実を悟った千堂の心は、いまどこへ向かおうとしているのか。

 

浪速の虎が再び牙を剥く日は、果たして訪れるのだろうか――。