引退試合はメインじゃないと
2026年1月4日、東京ドーム。
ついに棚橋弘至がリングを降りる日が近づいてきた。
そのラストマッチを務めるのは、かつて新日本プロレスの景色を激変させた男、ワールド・レインメーカー オカダカズチカ。
オカダのロングインタビューが公開され、ファンの期待は更に膨れ上がった。
オカダは、これまでの二人の歴史を振り返りながら「引退試合がメインじゃなければいけないかな」と語った。
淡々と、しかし揺るぎなく、IWGP二冠戦が同日にあろうとも、棚橋弘至という存在の“最終章”の前にそれが霞むという主張は、彼だからこそ言える確信だった。
「ボクもずっと『IWGPはメインじゃないといけない』と言っていた側ですけど、今回に関しては棚橋さんの引退試合がメインじゃないといけないかなと思いますね」
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) December 4, 2025
オカダ・カズチカ選手に直撃インタビュー!
無料公開⇒https://t.co/FkHjAdtdfk#njwk20 pic.twitter.com/BmHz2Czg67
振り返れば、二人の物語は新日本プロレスの現代史そのものだ。
かつてオカダが新日本プロレスに凱旋した時、多くのファンと関係者は懐疑的だった。
体格はあっても経験は浅く、大舞台の主役として認められるには時間がかかると思われていたかもしれない。
だが、彼は「レインメーカー」を名乗り、堂々と棚橋に挑戦状を叩きつけ、逸材 棚橋は王者としてその挑戦を受けた。
そして、容赦なく叩き潰すのではなく、しっかりとリングで向かい合った、未来へ繋ぐために。
だが――そこからが物語の本当の始まりだった。
オカダは挑戦者でありながら、棚橋のすべてを真正面から食らい、そこから立ち上がり、少しずつ“本物”へと育っていく。
最初のタイトルマッチで放ったレインメーカーの衝撃。
「若手凱旋のビッグマウス」から「新時代の旗手」へ、新日本プロレスを動かす主役になった瞬間だった。
それでも、棚橋の背中は遠く、越えたと思っても超えられない、二人は何度も何度も向かい合い、そのたびに新日本プロレスは熱狂と混乱と感動の渦に包まれた。
試合が決まるたびにファンの心が震え、勝敗で語れない深い物語が折り重なっていった。
オカダは言う。「棚橋さんがいなければ今の自分はいない」。
その言葉はただの美辞麗句ではない、棚橋という巨大な壁があったからこそ、レインメーカーは完成した。
棚橋の技術、説得力、華。そこに挑み、敗れ、また立ち上がる。その繰り返しが、オカダを“新日本の象徴”へ押し上げた。
そして時は巡り、オカダは新日本を離れ、海を渡りAEWへ。
いわば“棚橋の物語の外側”へ飛び出した。
それでも、二人の関係は終わらなかった。むしろ距離ができたことで、彼は初めて棚橋という存在の大きさを実感したのかもしれない。
そんなオカダに棚橋の引退試合という大役が巡ってくる。
「これは自分がやらなければならない」
その覚悟は、インタビューの言葉の節々に滲んでいた。
棚橋の相手には他にも候補がいた。
長年の因縁を持つレスラー、海の向こうで活躍するスター、退団によって日本のリングに立つことが難しくなった選手……どれも、ファンの心をくすぐる名前ばかりだ。
それでも、最終的に選ばれたのはオカダだった。
実力、実績、物語、そして“責任”。
「やっぱりレインメーカーというのは棚橋さんと始まったし、始まったからこそボクで終わらせるのが一番キレイなのかなと思いますね」
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) December 4, 2025
オカダ・カズチカ選手に直撃インタビュー!
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棚橋の最後を受け止められるのは、若い頃に挑戦し、負け、勝ち、歴史を積み重ね、今や海外の大舞台でも頂点に迫る存在へ進化した男しかいない――そういう空気が、団体内にもファンの中にも自然と形成されていった。
オカダ自身も「やるなら完璧な状態で迎えたい」と語る。
単に気持ちの問題ではない。棚橋のキャリア全体を背負ってリングに立つ責任を、彼は誰よりも理解している。
“あの人のラストを、他の誰にも任せられない”
その覚悟を持ってリングに上がる男の姿は、まさにレインメーカーそのものだ。
そしてもうひとつ、大きなうねりが生まれている。
近年なかった“超満員東京ドーム”の可能性が見え始めているのだ。
棚橋弘至の名前が持つ吸引力は、時代を経ても衰えない。そこにオカダの参戦が加わったことで、ファン心理はさらに加速した。
かつて棚橋に救われたファン、オカダのレインメーカーに惹かれたファン、二人の試合を観て人生の支えにしてきたファン――その思いが、2026年の東京ドームをぎっしりと満たそうとしている。
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— 新日本プロレスリング株式会社営業部 (@njpw_nyao) December 4, 2025
2026年1月4日(日)
『サンセイアールアンドディ presents WRESTLE KINGDOM 20 in 東京ドーム』
🦁新日本プロレス イッテンヨン
外野スタンドはまだ間に合います☑
🎫ローソンチケット🎫https://t.co/pQe7mCEVpo… pic.twitter.com/vY20WGDnTW
この試合は、ただの引退試合では無いし、ありがちなラストシングルでも決してない。
“黄金時代を作った二人の物語の終着点”であり、そして“プロレスの新しい始まり”でもある。
では、棚橋弘至 vs オカダカズチカの最後の戦いはどんな景色になるのか。
ドラマのように激しい大逆転劇かもしれない。
歴史を噛みしめるようにゆっくりとした時間が流れるかもしれない。
あるいは、二人だけがわかる沈黙に満ちた闘いになるのかもしれない。
誰にも予想はできない。
ただひとつ確かなのは、この試合が新日本プロレスの長い歴史の“節目”になること。
そして、その瞬間を目撃するファンこそが、二人の物語の証人になるということだ。
太陽の天才児 棚橋弘至が最後に見せるプロレス。
その物語の終わりを受け止めるのは、他の誰でもない――オカダカズチカ。
レインメーカーが降らす雨が、東京ドームの空気をどう変えるのか。
その答えが明らかになるのは、2026年1月4日。
リングの中央に立った二人が、最後に向き合った瞬間が、誰も見たことのない景色になるのか!?