現役プロレスラーの限りなく最後の瞬間
「さよならプロレス」 著:瑞 佐富郎
~伝説の23人のレスラー、その引退の真実と最後の言葉~
天龍源一郎との”龍原砲”で一時代を築いた阿修羅原から始まり、燃える闘魂・アントニオ猪木、鉄人・小橋建太や、ジュニアの重鎮・獣神サンダーライガー等々。
ラストエピソードは、野人・中西学と錚々たるメンバーが名を連ねています。
俺たちの時代や全日四天王らの括りだけでなく、NOAHの浅子覚や元闘龍門のSUWA、現在は新日本プロレスの解説やスターダムのコーチとして活躍するミラノコレクションAT等の引退にまつわるエピソードも掲載されています。
それぞれのエピソードが重苦しい雰囲気を匂わせず、ある意味で心地よく書かれているのでとても読みやすい。
一遍に読む必要もなく、各プロレスラーのストーリーを幾つか読んで、後日読んでも、それぞれに関連性は無いので、思い出す必要なく読み進めることが出来ます。
“プロレスラーに引退はない”とよく言われるし、レスラー自身も話しますが、この本に載っている中で、引退(廃業)~復帰したのは阿修羅原と長州力、馳浩だけだと思われます。
プロレスは強さも見せるスポーツエンターテイメントの側面を持ち、人生の縮図と言われるだけに、引退からの復帰をファンが見れるのもまた人生模様かもしれません。
阿修羅原の頑固一徹までのプロレスラー、アスリート魂や垣原賢人のUWFへのこだわりから新日本プロレスでの引退。
力皇猛の角界からプロレス転身への逸話など、皆、一度はライブであったり、画面を通して見たことがあるレスラーだけにエピソードが心に沁みわたります。
23人のレスラーとは別にあとがきに、WWEの墓掘り人 ジ・アンダーテイカーのエピソードもチラッと書いてありますが、これに関しては全く知りませんでした。
プロレスに限らないですが、知らないことを知るときの驚きと楽しさが読書にはあります。
また一つ、プロレスを見る、読むことが面白くなったように感じる1冊です。