後藤革命とは一体何なのか
2025年、後藤洋央紀選手がザック・セイバーJr.からIWGP世界ヘビー級王座を奪取し、ようやくその頂点に立ったことは、新日本プロレスファンにとって驚きであり、また長年応援してきた者にとっては感慨深い瞬間だったはずです。
その後も防衛戦を重ね、次戦は6月15日、大田区総合体育館での鷹木信悟戦が控えています。
一見すれば順調に王者としての道を歩んでいるように見えますが、その内実はどうなのでしょうか。
いま改めて問いたいのです。「後藤革命」とは何であるのでしょうか。
リング上で「後藤のGは革命のGだ」と叫ぶ姿、あるいは自身の子どもをリングに上げる姿。
確かに、それらは後藤選手なりの“色”であり、家族を想う心の表現とも言えます。
しかし、それが果たして「革命」と呼べるほどのインパクトを持っていたのかと問われれば、首をかしげざるを得ません。
ファンの間では、先日の大会でIWGP世界ヘビー級王座戦がセミファイナルに置かれたことに対し、疑問と不満の声が噴出しました。
これはAEWとの合同興行のような特別な背景があったわけではありません。
ただ純粋に、新日本プロレスの旗艦タイトルであるIWGP世界ヘビー級の価値が、現王者の存在感によって相対的に下がってしまった――そう見られても仕方のない事態だったのです。
それを象徴するかのように、辻陽太選手がSNSで怒りを露わにしました。
若きIWGPグローバル王者が組織の在り方に疑問を呈する姿には、希望と同時に危機感も覚えます。
今こそ新日本プロレス全体が立ち止まり、王座の意味、そして“真の革命”とは何なのかを再考すべき時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
【新日本】GLOBAL王者・辻陽太 米国大会への不満噴出「この状況が続くようなら、俺はもう…」|東スポWEB #njpwhttps://t.co/3ZvnB9F9R7
— 東スポ プロレス格闘技担当 (@tospo_battle) May 20, 2025
米国でのザック・セイバーJr.との一戦は引き分けに終わり、後藤選手自身もその結果には言及していました。
しかし、それ以上の踏み込んだ発言や、王者としての覚悟を見せるようなメッセージは、正直なところあまり見受けられませんでした。
それが「無口なサムライ」「背中で語る男」としての美学であるというのであれば、それも一つのスタイルではあります。
しかし、プロレス界というエンターテインメントの場において、その“沈黙”は観客の心を震わせることができるのか――答えは否だと、筆者は思います。
後藤選手の人柄や努力を否定するわけではありません。ただし、団体の象徴たるIWGP世界ヘビー級王座を預かる者には、“後藤らしさ”以上のものが求められるという厳しい現実があるのです。
現状のままでは、「後藤革命」は“風変わりな王者交代劇”で終わってしまいかねません。
ここで改めて問いたいのです。新日本プロレスは本当に、この「後藤革命」を通じて、新たな未来を描こうとしているのでしょうか。
他団体に目を向ければ、話題性と納得度を兼ね備えた動きが目立ちます。NOAHではOZAWA選手が破竹の勢いで台頭し、全日本プロレスでは斉藤ブラザーズが団体の“顔”として強烈なインパクトを残しています。
いずれも、その姿は観る者の心を掴み、団体全体の活性化に繋がっているのです。
一方、新日本プロレスはと言えば、「世界一のプロレス団体」を自負していたかつての輝きを、どこかで見失ってはいないでしょうか。
【あと25日!】
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) May 22, 2025
■『DOMINION 6.15 in OSAKA-JO HALL』
6月15日 (日)16:00~大阪城ホール
“上半期の天王山”4大タイトル戦が実現!!
・IWGP世界ヘビー 後藤vs鷹木!
・GLOBALヘビー 辻vsゲイブ!
・棚橋vs上村!
※前売チケット好評発売中!https://t.co/CJANH4kmeO#njDOMINION #城熱爆発 pic.twitter.com/gCfrJSO1oR
そんな中で、希望の光と感じられるのが次期挑戦者である鷹木信悟選手の存在です。実力は言うまでもなく、ラジオ番組やYouTubeでも旺盛に情報発信を行い、ファンとの接点を積極的に持ち続ける鷹木選手の姿勢は、まさに王者に相応しいものです。
何より彼には「プロレスを面白くする」という強い意思と覚悟が感じられます。
最高峰の王者とは、ただ強いだけでなく、話題を呼び、観る者に希望や驚きを与える存在でなければならないはずです。そうした意味でも、鷹木信悟という存在には、大いなる期待を寄せています。
ランペイジドラゴンの爆発に、今こそプロレス界の風穴を開けてもらいたいと心から願ってやみません。
新日本プロレスが再び“王道”としての風格を取り戻すために、いま必要なのは、名ばかりの「革命」ではなく、本当の意味での変革――すなわち、“観る者の心を動かすプロレス”ではないでしょうか。
変化を恐れるな。新しい旗を掲げる勇気を持て。シン・新日本プロレスの夜明けは、近いのか、それともまだ遠いのでしょうか!?