4代目タイガーマスク 2026年7月引退へ
2025年7月6日、後楽園ホール 4代目タイガーマスクは大ベテランの棚橋弘至とシングルで対峙し、試合後、「来年7月をもって引退する」ことを表明した。
突然の決断ではなく長年にわたり、団体の中で燻り続けてきた葛藤と、蓄積された身体のダメージ。
そして、未来に踏み出すための冷静な判断が交錯した末の決断かもしれない。
デビューからの軌跡──“4代目”としての矜持
3代目金本タイガーはマスクを脱ぎ、その後、タイガーマスクの名を継いだのが現・4代目である。
初代タイガー(佐山聡)が築いた伝説を背負いながら、彼は独自のスタイルを模索し続けてきた。
新日本プロレスにおけるジュニアヘビー級戦線では、金本浩二、田口隆祐、プリンス・デヴィット(現フィン・ベイラー)らと好勝負を繰り広げ、2000年代にはベスト・オブ・ザ・スーパージュニアでも存在感を放った。
日本のマスクマンとしては?素顔を明かさず、実力で語る“仮面の男”として、プロレスの本質を体現した数少ない選手だったと言っていい。
決して、「お前平田だろ!!」とは言われていないハズだ(笑)
近年は「試合が組まれない」と不満を漏らしていた時期もあったが、フリー転向の道を選ばず、新日本に残り続けたその姿勢には、団体への誇りと責任感が滲んでいた。
選ばなかった道と、踏み出す第二の人生
引退の理由は大病を患った体力の限界も大きいと思うが、長いキャリアを経た今、いつ試合が組まれるか分からぬ状況で、モチベーションを保ち続けることの困難さは、想像に難くない。
【新日本】引退決断タイガーマスクが明かす手術後5年間の〝苦闘〟「ストーマしてる方に勇気を与えたい」|東スポWEB https://t.co/5ak28CrcS1
— 岡本佑介@東京スポーツ新聞社 (@okamotospo) July 7, 2025
未来の保証なきトレーニングよりも、次の人生への一歩を選ぶことは、勇気ある決断だ。
このタイガーの選択は、団体内外に様々な波紋を広がる気がする。
2024年には棚橋弘至も引退を発表し、タイガーと同じく1年かけて引退ロードを歩んでいる。
新日本プロレスという大海のなかで、ひとつ、またひとつ、確かな灯が消えていく。
では、今もリングに立ち続けている中堅、そしてベテランたちは何を思うのだろうか。
肩叩きか、手向けか──ベテランに突きつけられる現実
棚橋社長が、若手や現役トップとの「引退前シングル」に臨んでいるのとは別に、超ベテラン勢の試合は、ある種、餞(はなむけ)であると同時に、静かな“肩叩き”でもあるのではないだろうか。
「僕はもう引退します」と口にする代わりに、世代交代の構図をリング上で見せつけること。
それが、ある意味で自らの引き際を悟らせるプロレス的な“恩返し”の形なのかもしれない。
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— プロレス/格闘技DX編集部 (@PKDX) July 6, 2025
今、続々と若手選手がデビューし、海外に常駐する選手も増えている中で、「来年も契約される」という前提で活動するベテラン選手たちの存在は、団体運営にとっても再考すべきテーマになりつつある。
例えば天山広吉は見るからに痩せ細り、長年の怪我の影響で満身創痍だ。
それでもリングに上がる彼に対し、ファンの間では「もう限界では」との声も少なくない。
過去に一時代を築いたからこそ、痛々しさが際立つし、何か、間違いが起こる前に新日本首脳部は判断すべきではないだろうか。
彼らにとって、今なお続けることが“美学”なのか、何なのか、それは観る側にとっても複雑な問いだ。
タイガーの引退を聞き、何を感じるのか
永田裕志、小島聡、真壁刀義といったかつてのIWGP王者たちも、現在は中堅としての役割に徹している。
言葉だけでなく、行動で何かを示すのがプロレスラーならば、4代目タイガーの潔い決断は、彼らにとっても大きな意味を持つだろう。
本間朋晃なんて言葉では熱く語るが、実際には目立った行動を見せずにいる現状に対して、ファンの中には不満の声もあるというかそれしかない。
そんなにG1出場戦に出たいなら「乱入してでもぶつかっていけばいいのに」──それがプロレスラーではないのか、内藤哲也を近くで見ていてなんとも思わなかったのだろうか。
4代目タイガーマスクは、2026年7月までの1年間をかけて、新日本だけでなく、故郷のみちのくプロレスなどを経た引退ロードになるのではないだろうか。
対戦相手にとっても、それは彼への敬意を表す“最終章”となるだろう。
伝説はいつか終わる。しかし、終わらせ方を自ら選ぶことができる者は少ない。皆がただただしがみつく。
虎仮面の伝説は、みなしごのバラードのように終わるのか、それとも、GO GO タイガー!で終わるのだろうか。