新日本所属の矜持と意地
G1 CLIMAX 35・Aブロック終盤戦、海野翔太がKONOSUKE TAKESHTAをセカンドチャプターで沈めた。
この勝利は、単なる白星以上の意味を持つ。新日本隊所属の若きエース候補が、半ば“外敵”とも言える相手を下したのだ。
海野は試合後、TAKESHTAがシリーズに帯同せずスポット参戦する現状を痛烈に批判した。
NEVER無差別級王者の時でさえ帯同せず、AEWを主戦場とし、3団体を股にかけるTAKESHTAに対して、「新日本所属の覚悟」を問う言葉だった。確かに、この指摘は正論だ。
過去にも複数団体所属の選手は存在した。
ゴールデンスター”飯伏幸太は、DDTとの二団体所属時代でも新日本を第一とし、G1覇者・IWGPヘビー戴冠と、数々の実績を積み重ねた。
その姿勢は所属団体への忠誠と、ファンの支持を同時に勝ち得た。
だが、TAKESHTAの場合は事情が異なる。AEWでの活動がメインであり、日本での活動は限られる。
それを承知で新日本首脳部がオファーしたのだから、本人としては海野に言われる筋合いはない、という理屈も成り立つ。
TAKESHITA「オイ、海野。5年後、10年後、お前は下から俺を見上げて『俺はあのTAKESHITAにたった1回勝ったことがあるんだ』って自慢しろ。俺はお前の手が届かねえぐらい、上に上に行ってやる。今日勝ったのはお前だ。よかったな。一生の宝物にしろ」
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— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) August 8, 2025
結局、こうした立場や理念の食い違いは、リングでしか決着をつけられない。今回の一戦は、まさにイデオロギーのぶつかり合いだった。
そして、この試合はもしかすると、海野翔太が“本格的なヘビー級ベビーフェース”として観客から素直に応援された初めての試合だったかもしれない。
TAKESHTAは肩書き上は新日本の一員でも、発言や立ち位置は外敵的であり、しばしば新日本の選手や体制を批判してきた。
だからこそ、海野が彼を下した意味は大きい。ブロック突破へ向けて、これ以上ない弾みとなる一勝だった。
とはいえ、この白星がそのまま優勝、そしてIWGP世界ヘビー級王者ザック・セイバーJr.への挑戦へと直結するとなると、「また持ち上げか」という声が出る可能性もある。
だからこそ、この先の公式戦や決勝トーナメントで何を見せるのかが、海野の評価を大きく左右する。
ファンが納得する結果を出せるかどうか、その真価が問われるのはこれからだ。
そして、お馴染み(笑)外せないのが“お父さん問題”だ。
レフェリーのレッドシューズが息子の試合を裁くことへの違和感は、以前から一部ファンや選手の間でも指摘されてきた。
マーティや佐藤氏といった他のレフェリーがいる中で、なぜレッドシューズが担当しなければならないのか。
過去には内藤哲也も、そして最近では辻陽太も、この件について苦言を呈していた気がする。
もしアントニオ猪木が現役で団体を見ていたなら、「バカヤロー!身内がリングにいて闘うバカがどこにいるんだ!」と一喝していたのではないか。
内藤哲也はどんなにプロレス好きな父親であってもリングに上げなかった(と思う)。
一方、後藤洋央紀は子どもをリングに上げてワチャワチャやる場面が何度もあった。
一部ファンには、ファンにとって微笑ましい瞬間かもしれないが、真剣勝負のリングに家庭的な空気を持ち込むことに抵抗を覚えるファンも少なくないというか、99%そうであってほしいと思いたい。
ニコニコしたいなら、ファミリー映画でも見ればいい。
【新日本・G1】竹下幸之介 海野翔太に3敗目も強気「良かったな、一生の宝物にしろ」|東スポWEB https://t.co/n3dXsDJS8u
— 岡本佑介@東京スポーツ新聞社 (@okamotospo) August 8, 2025
G1は、選手の理念、覚悟、立場、すべてが剥き出しになる舞台であり、今回の海野とTAKESHTAの一戦は、その縮図のようだった。
勝利で勢いを得た海野は、ブロック最終公式戦でグレート-O-カーンと激突する。
この一戦が、海野翔太「第2章」によりそれとも勢いを付け、ブロックを勝ち抜けるのか要注目!!