ウルフを信じる
あの試合から、どれほどの月日が流れたのだろうか・・ゴロマキ権藤との事件のあと、ウルフ金串と矢吹ジョーは再び顔を合わせた。
ふたりがリングで拳を交えたのは、もう何年前のことだったか。ジョーのプロデビュー作戦として挑発され、いきり立ったウルフは、死闘とも呼べる一戦を演じた。
矢吹ジョーとウルフ金串の一戦は、力石戦への前哨戦では決してない、壮絶なダブルクロスで終わったジョーの名勝負の一つだ。
しかし、あの試合から、だいぶ経った後もウルフは今も道を踏み外していたままだった。
自らを飾り立て、誤魔化すようにジョーの前に現れ、返すあてもない金を借り、ジョーはウルフの役に立つなのならと金を貸した。
ウルフの元婚約者が信じ続けていたように、ジョーもまた、ウルフを信じた。
もしかすると、信じたかったのかもしれない。力石がこの世を去り、カーロス・リベラも行方知れずとなった今、ジョーにとって、かつて本気で拳を交えた相手と再び言葉を交わせることが、どれだけ貴重であったのだろうか。
過去の試合の勝敗など関係ない。拳を交えたことでしか築けない絆が、そこにはあった。
金竜飛役・若本規夫「大変なトラウマになるよなと思った」インタビュー豪華3本立て!『あしたのジョー2 名勝負COM… https://t.co/gb2Gkeclzn pic.twitter.com/DJDxZg82Gf
— PR TIMESエンタメ (@PRTIMES_ETM) March 3, 2025
一方で、丹下ジムはジョー人気を追い風に、新ジム建設の夢を語り始める。
段平が伝えるその話には、次なるOPBF防衛戦がハワイで行われること、さらには世界王者ホセ・メンドーサも現地で防衛戦を行うというビッグニュースも含まれていた。
あのホセがいる場所へ行ける、ジョーの胸は高鳴り、丹下ジムと共に新たな局面を迎えそうだ。