SANADAファッション入場
SANADA――その名を聞いて、まず思い浮かぶのは、端正なルックス、精緻な技術、そして最近では誰よりも鮮烈なファッションセンスだ。
今やリング上の“ファッショニスタ”という異名をほしいままにしている彼だが、その裏側には、いささか寂しさを覚えさせる現在の立ち位置も垣間見える。
今年のG1 CLIMAX 35でも、その存在感はリング外でこそ輝いている。HOUSE OF TORTUREに加入後は、スピーカージャケットにミッキーマウス風のシューズという出で立ちで、見る者の目を釘付けにする。
その奇抜さとスタイリッシュさのバランスは絶妙で、もし今もテレビ番組『ファッションチェック』が続いていたなら、ピーコやドン小西から「満点!」の評価が飛んでいたかもしれない。
さらに、G1という年間最大のシリーズにおいては、まさに“日本のセス・フリーキン・ロリンズ”と呼ぶにふさわしい魅せ方、ファッショニスタ振りには舌を巻く。
【新日本・G1】SANADAが〝人間ミラーボール〟で登場も…フィンレーとの遺恨マッチに敗れ連敗発進|東スポWEB #njpwhttps://t.co/2FT4LLtyyd
— 東スポ プロレス格闘技担当 (@tospo_battle) July 20, 2025
全身ミラーボールのようなキラキラシャイニングコスチュームな、志茂田景樹も驚くようなシースルーコスで登場したりと、入場だけで会場の空気を塗り替える。
プロレスにおいて、見た目のインパクトもまた戦いの一部であることを彼は誰よりも理解しているのだ。
だが、その外見のインパクトに比して、最近のSANADAにはどこか“勝ち欲”が薄いと感じるファンも少なくない。
特に試合中盤から終盤にかけての動きに、絶対に勝ちたいという“飢え”や“執念”が感じられないという声もある。
もちろん、SANADAのファイトスタイルは元来クールで、感情を爆発させるタイプではない。
しかし、その静けさの中にあった“芯”のようなものが、今は少し見えにくくなってしまっている。
思い出すのは、2023年のG1 CLIMAXだ。
当時IWGP世界ヘビー級王者として臨んだそのシリーズで、SANADAは文句なしの強さを見せつけていた。
Aブロックに配置された彼は、当時“ネクストジェネレーション”とされていた新鋭たち―辻陽太、清宮海斗らを相手に、ひとつひとつ確実に勝ち星を積み重ねた。
彼らの若さ、勢い、攻めの姿勢をすべて受け止め、冷静にねじ伏せていく姿はまさに“横綱相撲”と呼ぶにふさわしい貫禄を見せていた。
それは、ただ勝つだけではなかった。
王者としての威厳と格を示し、挑戦者に「まだ早い」と言わんばかりの余裕を持って対処していた。
その戦いぶりには、「これぞSANADA」と唸らせる説得力があったのだ。
だが、それからわずか2年余りの今、あの自信や王者然とした風格が薄れてしまったようにも見える。
デッドフォールも、かつては必殺の一撃だった。
だが最近では、あまりにも見慣れられてしまい、終盤になると相手に読まれ、かわされる場面が多くなった。
見せ方を変えるか、入り方を工夫するかして再び“決定力”を持つフィニッシャーとして蘇らせることができるかが、復活の鍵になるだろう。
【新日本・G1】SANADA 日替わり〝奇抜コスチューム〟に込めた団体へのアンチテーゼ|東スポWEB #njpwhttps://t.co/OOD0TEYa93
— 東スポ プロレス格闘技担当 (@tospo_battle) July 22, 2025
もっと勝ちたいという野心、もっと頂点に立ちたいという執念があれば、今でもG1のトップ3に食い込むだけのポテンシャルは十分にある。
技術、ルックス、キャリア、そしてカリスマ性。すべてを備えたSANADAが中堅に甘んじている現状こそ、もっとも嘆かわしいのだ。
彼が本気を出せば、現在の新日本の勢力図を塗り替える存在になれるだけに、G1のような真剣勝負の舞台でこそ、“本物のSANADA”を見せてほしい。
そして、誰よりも輝くリングコスチュームで、誰よりも強く、そして美しく勝ち上がってほしい。
その時こそ、彼は“日本人としてセスを超えることができる唯一無二の存在になるはずだ。
最も輝きを放つリング上でも、SANADAが再び頂点に立つ日を――誰もが待っているのではないだろうか。