お兄ちゃんとのキャッチボール
海野翔太のストーリーを見ていて、なんだか久しぶりに胸の奥が熱くなった気がする。
激しさや意地のぶつかり合いの中に、それでも消えずに残っているものがある――そんなことを思い出させてくれる、どこか懐かしくて温かいエピソードだった。
あの高橋裕二郎とのキャッチボール。
そして、グローブ。
もう何年も、悪に染まりきったように見えていた裕二郎だからこそ、その記憶は余計に胸を打つ。
荒んだ時間の奥に、それでも確かに存在していた“お兄ちゃん”との思い出。海野にとっても、それはただの昔話ではなく、今の自分を支える大切な景色のひとつだったのかもしれない。
NJCの試合は、真っ向勝負で進みながらも、最後はHOTの悪の連携が復活した。
やはり現実は甘くない。そう思わせる展開だった。
それでも海野は、そこを振り切って勝った。力で、気持ちで、そして何より、自分が信じるまっすぐさで勝ち切った。
【新日本・NJC】海野翔太が8強 裕二郎がまさかのクリーンファイトも…15分で再び悪の道へ |東スポWEB #njpwhttps://t.co/eu9qSg3pij
— 東スポ プロレス格闘技担当 (@tospo_battle) March 14, 2026
同期の成田蓮もHOUSE OF TORTUREに染まり、しかも2代目リーダーに就任した今、海野にとってこのユニットはあまりにも因縁が深い。
大切だったものが、少しずつ遠ざかっていくような寂しさも、きっとどこかにあるのだと思う。
だからこそ、裕二郎の中にほんの一瞬でも“光”が見えた気がしたことが、何か切ない。
完全に失われたわけじゃない。
昔のままの優しさも、お兄ちゃんらしさも、心のどこかにはまだ残っている。
そう信じたくなる時間が、あの試合にはあった。
勝ったのは海野だった。
けれどあの日、本当に胸を打ったのは、勝敗だけじゃない。
変わってしまったものの中に、変わらず残っていたもの。
遠くなったように見える人との間に、それでもまだつながっている記憶。
そんなものが、不意にリングの上で顔をのぞかせたことだった。
そして次戦の相手は、これ以上ない強敵、ザック・セイバーJr.。
かつて東京ドームのメインイベントで雌雄を決した相手との再戦が待っている。
それでも、裕二郎兄ちゃんとの試合を経て、海野は確かめたはずだ。
自分の中には、まだあの頃の気持ちがちゃんと残っていることを。
どれだけ周りが変わっても、どれだけ痛みを知っても、自分まで変わってしまう必要はないのだと。
あの日のキャッチボールの記憶は、きっとただ懐かしいだけじゃない。
海野翔太が前に進むために、もう一度心の中で受け取った、大切な一球だったのかもしれない。
だからこそ思う。
海野翔太のセカンドチャプターは、強さだけじゃなく、優しさも抱きながら、ここからさらに加速していくのハズだ。