ベルト連続挑戦 高橋ヒロムの現在地
新日本プロレスの“TIME BOMB”こと高橋ヒロムが、いま再び日本マット界の中心に立ち、そして海を越えて躍動している。
ジュニアヘビー級の象徴として数々の記録を塗り替えてきた男が、2025年の夏、日米をまたにかける大車輪の活躍を見せているのだ。
まず大きな話題となったのは、プロレスリング・ノアへの電撃参戦だ。
一度は延期となっていたYO-HEYの保持するGHCジュニアヘビー級王座への挑戦が、ついに実現する。
両者はジュニア戦線を長年支えてきた存在でありながら、団体の垣根を超えた本格的なタイトルマッチは初めて。まさに団体の威信を懸けた一騎打ちとなることは必至だ。
高橋ヒロム、代打・菊池に完勝も「ノアを味わったとは思ってない」GHCジュニア王者YO-HEYと9.8後楽園で王座戦決定!(プロレスTODAY) – Yahoo!ニュース #noah_ghc #njpw https://t.co/gWdXeLLYvI
— プロレスリング・ノア |PRO WRESTLING NOAH (@noah_ghc) August 12, 2025
しかもヒロムはタイトルマッチだけでなく、ノアの他カードにも登場しており、ヒロムが放つ独特の熱量が、普段のノアファンにとっても鮮烈な刺激となるに違いない。
さらに驚きを呼んだのは、アメリカ・AEWへのサプライズ登場だった。現地ファンの大歓声を浴びながらリングインしたヒロムは、自らの代名詞である「TIME BOMB」の派生技“TIME BOMB Q”を披露。
ジュニアならではのスピードと爆発力にアメリカの観客も酔いしれた。
日本のトップジュニアが海を越えてなお輝きを放つ――その瞬間、世界に向けて「ヒロム健在」を強烈にアピールした格好だ。
だが、その一方でファンの心に複雑な感情を残しているのも事実だ。肝心のホームリングである新日本プロレスでは、この夏ほとんど見ることができなかった。
【AEW】電撃登場の高橋ヒロムが新技「TIME BOMB Q」で快勝「禁断の扉」でTNT王座挑戦へ|東スポWEBhttps://t.co/Ed2ZWY1TiJ
— 東スポ プロレス格闘技担当 (@tospo_battle) August 14, 2025
もちろん新日本プロレスは真夏の最強決定リーグ戦「G1 CLIMAX」と年間最大シリーズがある。
大会の性質上、参戦選手のほとんどがヘビー級であり、ジュニアが割って入る余地は少ない。
だが、年間最大規模のシリーズだからこそ、普段新日本を観戦しない新規ファンが訪れる場でもある。
その大舞台でジュニアの魅力を発信できないのは、あまりにももったいないのではないか。
これはヒロムだけでなく、同じくジュニアの顔であるエル・デスペラードにも当てはまる。
ようやく両選手ともに、G1最終戦の8.17有明アリーナで試合を見ることが出来た。
彼らが新日本の看板選手でありながら、国内外の他団体で存在感を示し続けている現状は、ファンにとって喜びであると同時に、寂しさも伴う。
特に、新日本の大会と日程が重なるなかでヒロムがNOAHに出場するという事実は、一部ファンに複雑な思いを抱かせてもいるやもしれない。
とはいえ、常に型にはまらず、常識を打ち破り、どこに現れても主役となってしまう稀有な存在であるのが高橋ヒロムかもしれない。
団体の垣根を軽やかに飛び越え、そこで爪痕を残す姿は、ジュニアヘビーの枠を超えたプロレスラーとしての進化を物語っている。
果たして、ノアでのGHCジュニア挑戦は、新たなベルト戴冠への道となるのか。
そしてAEWでの爪痕は、さらなる世界進出への布石となるのか。答えはまだ見えない。
しかしひとつだけ確かなのは、ヒロムが歩む道は常に予測不可能であり、その先に何が待っているかを想像するだけで観る者をワクワクさせるということだ。
新日本プロレスを長らく“留守”にしていた間も、その存在感は一切薄れることがない。
それどころか、国内外のマットを荒らしまわり、ますますスケールを広げて帰ってくる。
それだけに、再び高橋ヒロムが新日本のリングで、爆弾のような衝撃を投下する瞬間がいつ来るのか、要注目!!