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【2025年参議院選挙】勝つのは子供か国民か?公平性は何処にある!?

経済・生活
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何がそんなに偉いのか

2025年夏、猛暑とともに火ぶたが切られた第27回参議院選挙は、例年にない熱気を帯びている。争点は単なる与野党の議席数争いにとどまらず、「給付か減税か」「子ども世帯か、全世代支援か」といった日本社会の根本的価値観を問う、極めて深い分断線が引かれている。

■自民党の“子育て偏重”政策が波紋

自民党が掲げるこども未来支援的な旗印の下、児童手当の拡充、大学無償化、高校授業料の完全無料化など、子育て世帯に対する予算措置が目白押しだ。

意味不明の「異次元の少子化対策」と銘打ち、子どもを産み育てやすい社会を最重要課題に掲げてきた。

だが、今回の公約には明確な“穴”があった。

たとえば、月々の生活が苦しい子なし世帯や片親世帯、単身者、さらには不妊治療を経ても授かれなかった人たちには、それほどの恩恵がない。

むしろ、これらの人々にとっては、税金の使い道が一方的に感じられる分、疎外感すら漂っている。

「なぜ、子どもがいるだけで現金がばら撒かれ、他の国民は何の恩恵もないのか?」

「子どもがいない人々は、政治から見捨てられた存在なのか?」

これは、単なる“嫉妬”や“逆恨み”などではない。

問題の根幹は、「税金とは誰のためのものか」という公平性と再分配の原則にある。

■「減税」へと傾く野党の攻勢

その一方で、立憲民主党、日本維新の会、共産党など野党各党は、「減税」をキーワードに支持拡大を狙っている。

立憲民主党は、消費税の一時的な5%への引き下げを打ち出したうえで、食品や生活必需品に限った軽減税率の大幅拡充を提案している。

日本維新の会は、所得税の累進性強化と併せて、徹底した無駄の削減を掲げ、消費税は“将来的な議論”として控えめに位置づけている。

共産党は、企業優遇税制を見直した上での「消費税廃止」を訴える。

ここに来て、かつて“消費税は福祉のため”と言われた論理が、根底から見直されようとしているのだ。

実際、消費税という制度は、その逆進性――すなわち、低所得者ほど負担感が大きいという構造的欠陥が指摘されてきた。しかも、収入が少なくても生きていく以上、生活必需品にかかる消費税からは逃れられない。こうした状況で子育て世帯だけに現金が配られることに、不公平感を抱く国民が出るのは当然だろう。

■消費税は“必要悪”か、それとも時代遅れか?

もちろん、与党には与党なりの論理がある。少子化が進行する日本において、将来の労働力と税収基盤を維持するためには、「今、子どもを増やすこと」が最も優先されるべき政策であり、そのための投資は国益そのもの――という考えだ。

加えて、消費税は法人税や所得税と違って、安定的に徴収できるという点も重要視されている。

国際通貨基金(IMF)も日本に対し、「社会保障財源としての消費税率の引き上げ」を提言している現状もある。

だが、その「国益」の背後に、目の前で生活苦に直面している人々を置き去りにしてよいのかという問いは重い。

財務省出身の政治家や保守派は、「減税は持続性に欠ける」「一度下げたら戻すのは困難」という“財政論理”を振りかざすが、現実に困窮する国民の生活は待ったなしだ。

■子ども政策への“偏重”は政治的バイアスか

自民党の“子育てバラマキ政策”は強い政治的バイアスが掛かっているようにも見える。

「どうせ自分たちの孫や子のためだろう」

「仲間内の票田に金を配ってるだけじゃないか」

「数字で判断せず、感情で政策を作ってる」

こうした声は、もはや陰口ではなく、街頭演説でもSNSでも公然と語られている。

さらに、タレント議員やSNSインフルエンサーが、「◯人目の子どもを授かりました!」と笑顔で報告する一方、不妊治療や流産、孤独な人生に苦しむ人々の姿は見えない。

政治があまりに“明るく健康な”家族像ばかりを理想化することで、それに当てはまらない層が無視されているように感じるのだ。

選挙政策にデリカシーが欠けているという批判は、決して小さくない。

■選挙の争点は、「分断」か「統合」か

今回の選挙は、単なる政策の是非ではなく、「分断」を生み出す政治に対する拒否反応も投票行動に大きく影響しそうだ。

給付か減税か。

子ども世帯か、子どものいない人々か。

未来か、今か。

それぞれに意味があり、優先順位を巡る議論は避けられない。

だが、いずれにせよ大切なのは、「誰かを切り捨てるような政治」を続けないことだ。

AI婚活や、移民拡大といった極論もネット上では語られているが、それは社会の不安や怒りの裏返しにすぎない。今を生きるすべての人々の“存在”に意味があるという視点こそ、真の再分配のスタート地点ではないか。

■結語:選ばれるのは「正義」か、それとも「現実」か

連日、駅を降りれば否が応でも伝わってくる2025年参院選。

焦点は、国民が「どちらの政治に、より公平さを感じるか」に絞られてきた。

「票になる子育て世帯に現金を撒く」政治か、「税負担の公平性と経済再建」を掲げる野党の減税政策か。

どんどん急落している支持率を与党がさらに落とすのか、あるいは無党派層と若年層を味方に付けた野党が躍進するのか。

結果がどう転ぶにせよ、この選挙は、単なる議席の数では測れない“民意の地殻変動”となることは間違いない。

この夏、日本の政治は、新たな局面を迎える。