メルカリの現在地
近年、日常生活の中で「それ、メルカリで売ったよ」「メルカリに出せばいいじゃん」といった言葉を耳にすることが珍しくなくなってきました。
もはや「メルカリ」という名称は単なるアプリ名にとどまらず、私たちの暮らしに深く根ざした社会現象のような存在になっています。
メルカリは、スマートフォンを使って個人が自由にモノを売り買いできる“フリマアプリ”です。2013年にサービスが始まり、現在では月間アクティブユーザー数が2000万人を超える、日本最大級のCtoC(消費者間)取引プラットフォームに成長しました。
このアプリの仕組みはシンプルです。家にある使わなくなったモノをスマホで撮影し、簡単な説明と価格を入力して出品。買いたい人が現れたら取引が成立し、あとは発送するだけ。
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— メルカリ (@mercari_jp) May 16, 2025
買う側もまた、検索やカテゴリから欲しい商品を探し、気に入ったものがあればすぐに購入できます。
このように、誰でも「お店の店主」に、そして同時に「お客さん」にもなれるのがメルカリの最大の特徴です。
モノをつなぐ。暮らしをつなぐ。
メルカリの魅力は、単なる売買の利便性にとどまりません。「不要なモノが、誰かにとっての必要なモノになる」という、いわば“価値の再発見”がそこにはあります。
たとえば、サイズが合わなくなった服、読み終えた本、もう使わない家電。かつては「捨てるしかない」とされていたものが、メルカリを通して別の誰かの元へと再び旅立っていきます。
モノの寿命を延ばし、資源を有効活用するという意味で、メルカリはサステナブルな生活スタイルの一翼を担っているとも言えるでしょう。
このような流通の在り方は、近年注目されている「リユース」「リデュース」「リサイクル」の3Rにも通じる発想です。実際、環境への配慮や循環型社会の実現を意識する層からも、メルカリは高い支持を得ています。
メルカリでよく売れるものベスト3
では、実際にどのような商品がメルカリではよく売れているのでしょうか。以下に、需要が高く、取引が活発な3つのカテゴリをご紹介いたします。
第1位:衣類(特にブランド服・ベビー服)
着なくなったけれど状態の良い衣類は、メルカリ市場で非常に人気があります。特にブランド物や、成長の早い子ども用の衣類(ベビー服・キッズ服)は、「すぐ着られなくなる」需要と「安く買いたい」というニーズがマッチしやすく、すぐに売れる傾向があります。
第2位:ガジェット・家電類(スマートフォン、ゲーム機など)
スマホ、タブレット、イヤホン、ゲーム機など、家電やIT関連機器は常に一定の需要があります。型落ちであっても十分に使える製品であれば、価格次第で非常に早く売れるケースも多いです。
特にiPhoneなどのApple製品は流通量も多く、人気です。
第3位:本・漫画・参考書
読み終えた小説や資格試験用の参考書、漫画の全巻セットなども、メルカリでよく売れるジャンルの一つです。書籍類は値段が明確で比較しやすく、状態の良いものはすぐに買い手が見つかります。
受験が終わった学生が一斉に出品する時期なども、シーズン的な動きがあります。
こうした傾向から見えてくるのは、「一時的に必要だったが、今は不要になったもの」がメルカリ市場の主役になっているという点です。これは消費のあり方そのものの変化を示しているとも言えるでしょう。
進化するメルカリの事業領域
フリマアプリとしての成功にとどまらず、メルカリはその後も新たな分野へと事業領域を拡大しています。
その一例が「メルカリバイト」です。これは、短時間だけ働きたい個人と、短期的に人手を求める企業をつなぐサービスで、飲食業界や倉庫業務、イベント運営など幅広い業種で活用されています。
スキマ時間の活用や副業ニーズの高まりといった社会的な背景ともうまく噛み合い、新たな「働き方の選択肢」を提供しています。
さらに、2024年にはスマホ事業にも本格参入。中古スマートフォンと格安SIMを組み合わせた「メルカリモバイル」という通信サービスを開始しました。
これは「通信費を抑えたい」「中古でも十分」というユーザー心理を捉えた戦略であり、スマートフォンのリユース促進にもつながっています。
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こうした多角化の背景には、メルカリが単なる「モノの売買アプリ」ではなく、「暮らしに根ざした経済活動のインフラ」を目指しているという姿勢がうかがえます。
メルカリの強みと課題
メルカリの強みは、何よりもその圧倒的なユーザー基盤にあります。
売り手と買い手が多ければ多いほど、取引の流動性は高まり、商品が売れるスピードも早くなります。これはネットワーク効果と呼ばれる現象で、CtoCビジネスにおいて非常に重要な要素です。
また、操作性のわかりやすさも高評価のポイントです。直感的なUI(ユーザーインターフェース)や、誰でも簡単に出品・購入できるフロー設計により、ITリテラシーが高くない層や高齢者にも利用が広がっています。
一方で、課題も存在します。不正出品や転売、著作権侵害物の販売、さらには説明と異なる商品の到着など、個人間取引ならではのトラブルも一定数報告されています。
メルカリ側も監視体制やガイドライン強化などで対応を進めていますが、ユーザー数が増えるほどその対策は難易度を増していきます。
また、新品市場や既存の小売業にとっては、メルカリの存在が売上減少の一因になることもあります。「中古品の活性化」が新たな市場を広げる一方で、「新品を買う必然性」が薄れる側面もあるのです。
終わりに──モノの価値を再発見するプラットフォーム
メルカリというサービスを通して見えてくるのは、「モノの価値とは何か?」という問いへの新たなアプローチです。
買って終わり、使って捨てる──そんな直線的な消費ではなく、「使い終わった後にも、次の価値がある」という“循環的なモノとの付き合い方”が、ここにはあります。
誰かの「もういらない」が、別の誰かの「ちょうど欲しかった」になる。それをスマホ一台でつなぎ、日々の生活の中に自然と根付かせたメルカリは、まさに21世紀型の社会インフラとも言える存在です。
使う、手放す、そしてまた誰かの手へ──。
メルカリは今日も、モノと人との新しい関係性を、静かに、しかし確実に築き続けていく、これからにも要注目です!!