web analytics

プロレスの味方だった脚本家 内館牧子さん安らかに・・・

プロレス・他団体
スポンサーリンク

プロレスの味方として

脚本家・内館牧子さんと聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、大相撲の横綱審議委員としての姿かもしれない。

凛とした言葉選び、相撲文化への深い理解。そのイメージは確かに強い。

しかし、プロレスファンの間では、また別の顔がよく知られていた、そう、筋金入りのプロレス通である。


かつて『週刊プロレス』で連載を持ち、内館さんはレスラーを一人ずつ、自身の視点で切り取っていった。

技や勝敗だけではなく、リングに立つまでの背景、身体に刻まれた時間、言葉にならない矜持。

読後にはそのレスラーの立ち姿がはっきりと浮かび上がってくる。プロレスを「語る」だけでない、「読む」楽しさも教えてくれた連載だった。


記憶に残っているのは、確か佐藤正行編集長が誌面に登場し、その流れで始まった企画だったはずだ。

初回で取り上げられたのは、始まりは全日本プロレスだった大森隆男ではなかっただろうか。

派手さよりも、不器用さや真面目さが先に立つレスラーであり、その生き様を、内館さんは決して持ち上げすぎず、しかし深い敬意をもって描いていた。

その距離感こそが、内館牧子という書き手の真骨頂だった。

他にも武藤敬司や大好きだった三沢光晴、おそらく若手だった中嶋勝彦も出ていたのではなかろうか。


内館さんは脚本家として、数多くの名作ドラマを世に送り出してきた。

たとえば民放ドラマ『想い出に変わるまで』や大河ドラマ『毛利元就』、そして朝の連続テレビ小説『ひらり』『私の青空』などが思い浮かぶ。

 

人間の弱さや滑稽さ、そして再生を描く作品群は、時代を越えて支持されてきた。

特別なヒーローではなく、どこにでもいそうな人間が葛藤し、立ち上がる。

その視線は、プロレスのリングを見つめる目とも確かに重なっていた。


生業だった脚本家、造詣深く、何より好きだった相撲、そしてプロレス。

内館牧子さんが向けてきたまなざしは、常に「生き様」だったのだと思う。

勝つか負けるか、その奥にある人間の物語を、誰よりも信じ、言葉にしてきた脚本家だった。

ご冥福をお祈りいたします。