カードゲームへの誇りと情熱
「いやいや、まさかでしたよ。ブシロードが新日本プロレスの株を全部手放すなんて。」
「普通だったら、タイトルマッチの結果より驚くニュースですよね。『えっ!?ビックリし過ぎたんだけど!?』って。」
長年、新日本プロレスを支え続けてきたブシロード。
その株式がテレビ朝日、そしてサイバーエージェントへ譲渡されたという一報は、多くのファンにとって寝耳に水だった。
とはいえ、振り返れば「いつかは良い形で次の時代へバトンを渡したい」という考えは以前から語られていた。
だから、唐突な思いつきではない。
しかし、そのタイミングを早めた理由があったという。
「そこですよ。」
「何があったんです?」
「まさかの”あの辻発言”ですよ。」
試合後のあの辻陽太によるカードゲーム発言が、想像以上に大きな出来事だったことが見えてくる。
「えっ、あれってプロレスの煽りじゃなかったんですか?」
「いや、リング上の”効いてないアピール”じゃなくて、本当に効いてたんです。」
ファンの多くは「また挑発かな」と受け止めていた。
ところが、その裏では経営陣に少なからぬ衝撃を与えていたという話も伝わってきた。
どうやら、リング外でのガチのシュート発言だったのかもしれない。
さらに元新日本プロレスのオーナーだったブシロード木谷社長を襲った衝撃は、それだけではなかったようだ。
WWEがNetflixと世界規模の大型契約を締結した時である。
「世界が『Netflix!Netflix!』って盛り上がってる時、日本は『うちはどうなる!?』ですよ。」
「そりゃ天を仰ぎますわ。」
放送や配信の勢力図が大きく変わる時代。
プロレスも、リングの中だけで勝負する時代ではなくなった。
コンテンツ戦争、配信戦争、IP戦争…。
その現実を突き付けられた経営者としては、大きな決断を迫られたのだろう。
一方で、気になるのが新日本プロレス側の対応でもある。
あれほど話題になった親会社の批判発言だったにもかかわらず、辻には減俸や出場停止といった目立った処分は見当たらなかった。
「怒られなかったんですか?」
「怒られたかもしれないけど、ファンから見える範囲では”ノーダメージ”なんですよ。」
もちろん、内部での指導はあったのかもしれない。
だが、外から見る限りでは普段通り。
そこに組織としての”甘さ”を感じたファンも少なくないだろう。
棚橋弘至が人気者であることと、組織を率いることは別問題。
厳しさを示す場面がなければ、知名度だけでは長期政権は築けないのではないか?
そんな不安を抱く声があるのも理解できる。
リング上でも、IWGP世界ヘビー級王座への回帰、外国人レスラーによる最年少王者誕生、AEWとの関係など、さまざまな施策が打たれてきた。
しかし、それらがファン全体の支持を得ているかと言えば、意見は真っ二つ。
「なんか全部やってるんだけど、全部ホームランかって言われると…。」
「野球なら内野ゴロも混ざってますね。」
ただし、一つだけ誰も否定できない事実がある。
今の新日本プロレスを最も牽引しているレスラーの一人が、間違いなく辻陽太だということだ。
同世代での発言力や説得力、賛否を巻き起こすということは、それだけ注目されている証でもある。
もし、この夏のG1 CLIMAXを初制覇することになれば──。
「あの時いろいろ言われてたけど、結局この人の時代だったね。」
そんな空気が一気に生まれても不思議ではない。
しかし、ようやく昨年、IWGPヘビーの頂点を取った後藤洋央紀も辻に対し、疑問を投げかけた。
ブシロードが新日本プロレスを託すという大きな決断を下した今、団体はまさに新時代への分岐点に立っている。
衝撃のブシロード株式譲渡から始まった新日本プロレスの文字通り新章がはじまった。
熱戦が続く夏、そして運命の秋へ――次代の主役は誰になるのか。その答えは、リングの上で明らかになるだろう、要注目!!
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