スイーツでビターな世界観
個人的には「ティラミスとショコラ」──そう断言してしまいたくなるほど、彼女たちの存在感は『爆裂ハンター』(原作:あかほりさとる、作画:臣士れい)という作品において、実に鮮烈でした。
スイーツの名前を冠したキャラクターたちが魔法と戦いの世界を彩る中、特にこの姉妹は異彩を放ち、視聴者・読者の記憶に深く刻まれました。
『爆裂ハンター』は、魔法使いが支配する世界「スペルビア」を舞台に、悪しきソーサラーを狩るハンターたちの活躍を描いた、笑いとバトルとほんのりセクシー要素が絶妙に混ざり合った作品です。
コミカルな掛け合いに思わず吹き出したかと思えば、いきなりシリアスな展開に突き落とされるジェットコースターのような構成で、見る者の心を掴んで離しませんでした。
主役は、破壊を司る「破壊神の使徒」キャロット・グラッセ。その彼を取り巻く仲間たちがまた魅力的で、特にティラ・ミスとショコラ・ミスという姉妹は物語の中核とも言える存在です。
名前の通り、甘美で柔らかなイメージを持つ彼女たちですが、その実、彼女たちこそが爆裂ハンターの「爆裂」たる所以とも言えるほどの破壊力を持っていたのです。
#NowPlaying Until Strawberry Sherbet / 林原めぐみ (林原めぐみ●文化放送系ラジオドラマ「爆れつハンター」主題歌)
— みたさん🐸 (@mita_san) March 29, 2025
爆れつハンター(RADIO) OP pic.twitter.com/Q37zr5TRcO
ティラミスは一見、オタクで(笑)優しげな女性で、姉のショコラは、明るく奔放でおちゃめな雰囲気。
しかし、彼女たちにはもう一つの顔があります。それは、いわゆる“変身”によって現れる二重人格的なキャラクター性です。
戦闘時、彼女たちはそれぞれ魔法戦士としての装いに姿を変え、一気に凶暴かつセクシーなファイターへと豹変するのです。これは単なる見た目のギャップに留まりません。
彼女たちが持つ戦闘への執念、そしてキャロットへの愛情という名の執着が、一気に表面化する瞬間でもあり、そのギャップこそが彼女たちの最大の魅力なのです。
特に、キャロットを巡るティラミスとショコラの対照的な愛情表現には、視聴者としてニヤリとせざるを得ない場面も多々ありました。
日常では、ティラミスはおっとりとキャロットを見守る一方、ショコラはグイグイと迫るタイプ。しかし、戦闘モードに入った二人は、姉妹でありながらまるで“愛憎の化身”のように暴走し、その情熱ぶりには感嘆すら覚えるほどです。
彼女たちのキャラクター性をより引き立たせたのが、声優陣の見事な演技でした。ティラミスを演じたのは林原めぐみさん、ショコラを演じたのは水谷優子さん。そして主役キャロットには古本新乃輔さんという豪華布陣。
林原さんと古本さんが歌うオープニング曲「What’s Up Guys?」のノリの良さは、一度聴いたら耳から離れません。
林原めぐみのTokyo Boogie Night│TBSラジオ│2025/5/4 24:00-24:30 https://t.co/IXprxirz9O
— さぬき@林原めぐみさん水樹奈々さん応援 (@sanumegumi_tbn) May 5, 2025
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Sunday Afternoon/林原めぐみ
(あかほりさとる劇場「爆れつハンター」エンディング、アルバム「Enfleurage」より)https://t.co/knCSih2EsV
ポップで軽快ながら、どこか哀愁を帯びたメロディと、キャラの個性を活かした歌詞が見事に融合し、作品のテンションを一気に引き上げていました。
しかし、それ以上に心を打ったのがエンディングテーマ「MASK」でした。
ED曲はバラード調でしっとりと作品を締めくくる、いわばクールダウンの時間とも言えますが、この「MASK」は違いました。
クールで疾走感がありながら、どこか切なさを感じさせるメロディ。そして、ティラミスとショコラの映像が流れる中での二人の歌声が絡み合う様は、まさに魔法的な時間でした。
アニメ作品において、オープニングは作品の顔であり、記憶に残りやすいものです。
しかし、『爆裂ハンター』においては、ED曲である「MASK」もまた、視聴者の記憶に深く刻まれた名曲でした。何度聴いても色褪せない、そんな不思議な魅力がありました。
『爆裂ハンター』には、ティラミスとショコラ以外にも、マロン・グラッセ、ガトー・モカといった個性的なキャラが多数登場します。
名前は甘く、キャラは濃く、物語は熱く──そのアンバランスさがこの作品の魅力であり、同時に中毒性のある要素でもあります。
残念ながら、今の時代にリメイクされる可能性はあまり高くはないかもしれません。
しかし、だからこそ再放送でも、あの熱量をもう一度味わいたい、爆裂するようなテンション、キャラの強烈な個性、シリアスとギャグの絶妙なバランス──どれを取っても面白い作品でした!!