小峠篤司、男の土下座
その姿に、リングの上で生きる、代表としての男の覚悟を見たような気がする。
ZERO-1の世界ヘビー級王座をめぐる一連の騒動は、まさに“筋を通す”プロレスの世界を象徴していた。
潮崎豪が長期欠場となり、世界ヘビー級王座は宙に浮いた。返上を申し出ていたものの、ZERO-1はそれを受け入れず、「闘いで決着をつける」という団体としての矜持を貫いたのかもしれない。
ベルトだけが宙に浮き、時間だけが過ぎていく――そんな状況の中で、動いたのが小峠篤司だった。
【速報】
— ぺーやん🪽 next…🐙🦊or🗻🗼 (@Re_PHX_H_0427) October 13, 2025
潮崎豪選手退団で宙に浮いていた世界ヘビー級王座をプロレスリング・ノアの小峠篤司選手が代表で謝罪し返上。
しかし田中選手の要望と工藤GM了承をえて
小峠篤司vs田中将斗の世界ヘビー級王座戦の緊急決定!
小峠選手とNOAHの誠意ある対応に目頭が熱くなる。#noah_ghc#pwzero1 pic.twitter.com/BMpjgaOTsZ
彼はZERO-1のリングに上がり、観客の前で深々と頭を下げ、土下座をした。
その姿は決して屈辱ではなく、ひとりのレスラーとして、そして仲間としての責任を果たすための行為だった。
同じチームとして闘い抜いてき潮崎の無念になるだろうか、仲間だった自分が引き受ける。
「筋」と「義理」を貫いたその行動は、まさに浪花節であり、男・小峠篤司の真骨頂だった。
この誠意に心を打たれたのが、ZERO-1の田中将斗と工藤GMであり、二人は「小峠と田中で世界ヘビーを懸けて闘おう」と提案し、小峠篤司は受諾、11.10後楽園ホールでの王座戦が電撃決定した。
リング上の謝罪が、いつの間にか熱い勝負への布石へと変わり、そこには、プロレスの原点とも言える“信頼と闘志の連鎖”があった。
思えば、小峠篤司というレスラーは、常に真正面からぶつかってきた男かもしれない。
NOAHでは中嶋勝彦の凄烈なビンタを初めて受けた選手であり、遠藤哲哉を一発KOした“戦慄のの張り手”を、会見の場で真正面から受けて立った。
フラフラになりながらも中嶋に向かっていったその姿に、プロレスラーとしての魂が宿っていたし、逃げない。ブレない。そんな信念が、彼の闘いの原動力だ。
本日の世界ヘビー級王座のベルト返上を受け、11月10日(月)後楽園ホール大会にて
— プロレスリングZERO1(ゼロワン) (@ZERO1_Wrestling) October 13, 2025
世界ヘビー級王者決定戦 30分1本勝負
《田中将斗 vs 小峠篤司》
が行われることが決定いたしました。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
<新生ZERO1 ”聖地”初進出>
🗓️11月10日(月)
📍東京・後楽園ホール… https://t.co/XlWMOnC82n pic.twitter.com/QKsx18UbzT
かつてはスーパーマンキャラでファンを盛り上げたり、TEAM NOAHの一員として、リングを守る存在となり、仲間のために頭を下げ、そして闘う。
それが“いまの小峠篤司”のスタイルだ。
潮崎豪が残した“宿題”に、自らの信念でケリをつけるための行動だったし、そして、その誠意に呼応した田中将斗との世界ヘビー級王座戦が実現すれば、間違いなく名勝負になるようだったら、週プロの表紙にしてほしいぐらいだ。
いま、小峠篤司は“舐められるような存在”ではないだろうし、現GHC王者の高橋ヒロムの視界に入っても何ら不思議ではないハズ。
リング上で真正直に頭を下げた男が、次はそのリングの中心で立ち上がる小峠篤司に要注目!!