キケロガなのかブラウブロなのか
ついにエピソード7で登場した「サイコガンダム」は、多くのファンにとって驚きと歓喜をもたらした存在だったのではないでしょうか。
その巨大なフォルムが画面に現れた瞬間、まるで1985年に放送された『機動戦士Ζガンダム』の「ホンコン・シティ」編を彷彿とさせる演出が施されており、懐かしさとともに新たな驚きを提供してくれました。
さらに特筆すべきは、戦闘シーンで流れたBGMです。あの、かつてゼータガンダムの激戦の中で幾度となく耳にした楽曲が流れ出し、「ああ、これが令和のグリプス戦役かぁ」みたいな名シーンとなっていました。
そもそもサイコガンダムとは、『機動戦士Ζガンダム』において強化人間フォウ・ムラサメが搭乗する試作型ニュータイプ専用モビルアーマーであり、その圧倒的な巨体と火力で主人公カミーユ・ビダンを苦しめた存在です。
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監督:#鶴巻和哉#GQuuuuuuX #ジークアクス pic.twitter.com/dQV6sIORUh
— 機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) (@G_GQuuuuuuX) May 21, 2025
MS(モビルスーツ)というよりもMA(モビルアーマー)に近い形態を持ち、機体の一部が変形し、モビルスーツ形態とモビルアーマー形態を自在に切り替えることができました。
その異形とも言えるデザインと、ホンコン・シティの都市部を破壊しながら進撃する姿は、当時の視聴者に強烈なインパクトを与えました。
今回登場したサイコガンダムも、そうしたオリジナルの魅力を丁寧に再現しつつ、現代の映像技術によってさらに迫力を増しています。
とりわけ、スタジオカラーによる演出が冴えわたっており、装甲が剥がれ落ちるシーンや、弾幕のようなビームを放つ描写は、まるで『エヴァンゲリオン』の初号機を彷彿とさせるような狂気と美しさを兼ね備えていました。
加えて、本作ではビデオゲームの「VSシリーズ」でしか実現されてこなかったような“異種格闘技戦”が展開されている点も見逃せません。
たとえば、ギャンとサイコガンダムという、時代も思想も異なるモビルスーツ同士の激突が描かれるなど、従来の宇宙世紀作品ではなかなか見られなかった大胆なクロスオーバーが実現しています。
また、キケロガ(ブラウ・ブロ)とハンブラビといった、ジオン軍とティターンズの機体同士の対決もあり、マニア心をくすぐる演出が盛り込まれていました。
これらのシーンからは、「宇宙世紀」という大枠をベースにしながらも、そこに縛られすぎず自由な発想で映像作品を構築していこうという制作陣の意志が感じられます。
もちろん、「こんなこと、宇宙世紀でやっていいの?」とツッコミたくなる場面もありますが、それもまた本作の魅力の一つと言えるでしょう。
その“好き放題感”が、長年ガンダムを見続けてきたファンにとっては心地よいカタルシスとなっているかもしれません。
この勢いで進むのであれば、いっそのこと『Ζガンダム』後半の重要キャラクターであるハマーン・カーンや、彼女が搭乗するキュベレイの登場も期待してしまいます。
もっとも、本作の世界線が“ジオンが勝利した”という、いわばifの歴史である以上、登場させるにはさまざまなハードルがあることも理解しています。
しかし、それでもなお「出てきてほしい」と願ってしまうのがファン心理というもの。仮にキュベレイが登場するようなことがあれば、再び話題が爆発することは間違いありません。
いずれにせよ、今回のサイコガンダムの登場は、過去作品の名シーンをリスペクトしつつ、現代的な表現で新しい命を吹き込んだ、非常に意義深い試みであったと感じています。
懐かしさと驚きが絶妙に同居する演出の数々に、あらためて「ガンダムとは何か」を考えますし、ジークアクスが最後に着地する(最終回)場所はどこになるのか要注目です!!