フィン・ベイラーストーリー
WWEという団体を見ていると、「誰を、いつ、どう押し上げるか」という流れが、実に戦略的に組み立てられていることが分かります。
特に近年のWWEは、NXTから昇格した選手に対し、まず“ベビーフェイスなのか、ヒールなのか”を観客へ明確に印象づける傾向があります。
そのうえで、絶妙なタイミングでヒールターン、あるいはベビーフェイス転向を行い、人気と認知度を一気に高めていく。
たとえば最近では、ティファニー・ストラントンや、カーメロ・ヘイズの流れは、その典型例と言えるかもしれません。
さらにWWEでは、一度プッシュされた選手が所属ユニットから裏切られたり、追放されたりすることで、新たな物語が始まるケースも非常に多い。
そこから元ユニットとの抗争へ発展し、トップ戦線へ駆け上がっていくわけです。
近年で言えば、リア・リプリー、ダミアン・プリースト、直近では、ジェイコブ・ファトゥなどは、その流れに乗った代表格でしょう。
そして今、日本のファンにもおなじみのタマ・トンガ、さらにジャッジメント・デイを追放されたフィン・ベイラーにも、再び追い風が吹き始めているように見えます。
もっとも、タマの場合は再びMFTへ戻りそうな気配もあり、その動向はまだ流動的です。
一方のフィン・ベイラーは、かつてファンと一体化した“あの入場”も復活させて、再浮上していく可能性があります。
ここで興味深いのは、WWEのストーリーにおいて、選手個人の意思や演出だけではなく、“組織全体として誰を押すか”という判断が、大きく作用しているように見える点です。
そう考えると、登場直後こそ存在感を示しながら、その後はユニットの一兵士のような立場に落ち着いてしまったJC・マテオことジェフ・コブの扱いには、少し複雑なものを感じます。
また、現在はスターダムでビー・プレストリーとして活躍中ですが、かつてWWEでダベンポートとしてNXT昇格を果たしながら、大きな波を作れなかった印象があります。
その点、昇格後すぐにベルトを巻いたジュリアへの期待値は、やはり相当に高いのでしょう。
それだけに、今後の注目はフィン・ベイラーです。
ベビーフェイス、ヒール、その両方を経験した男が、再び観客の大歓声を追い風に、トップ戦線へ返り咲くのか。
WWEという巨大な“時間軸”の中で、フィン・ベイラー再浮上のストーリーが、静かに動き始めているのかもしれません。

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