カリスマ最後のホーム広島
新日本プロレスの一員として長年ファンを魅了してきた「制御不能なカリスマ」内藤哲也が、ホームとも言える広島大会で最後の試合に臨んだ。
この日、内藤は弟分とも言える高橋ヒロムとの師弟タッグで、石井智宏&タイチ組を迎え撃った。
会場に響き渡る大声援を受けながらも、試合は苦しい展開となる。奮闘むなしく、最後は内藤自身がタイチにフォールを奪われてしまったのだった。
敗戦、それも自らがピンフォールを許すという結末に、ファンとしては複雑な思いが胸をよぎった。
特に、同じく退団を表明しているオカダ・カズチカが最後まで負けることなくリングを去ったことを思うと、内藤に対しても、どこか「最後まで負けない姿」を期待してしまっていた自分に気付かされる。
だが、コブ&カラムのような経験未知数の相手ではなく、石井とタイチという、誰もが認める実力者たちに敗れたのであれば、それは仕方のないことだろう。
[LOS INGOBERNABLES de JAPON]
— 内藤哲也 naito tetsuya (@s_d_naito) April 27, 2025
¿lágrimas?
涙?
No, es sudor.
いやいや、汗だし…。https://t.co/WDpL2JoOTL
試合後、会場中から沸き起こる「ナイトー」コール。その中で、普段はどんな場面でも飄々とした態度を崩さない内藤の頬に、確かに一筋の涙が伝っているように見えた。
勝敗以上に、この広島という地で、これほどまでに愛され、惜しまれながら最後の試合を迎えたことの意味を、本人も噛みしめていたのだろう。
さらに、その温かな空気を象徴するかのように、試合後のバクステに広島東洋カープのマスコットキャラクター、スラィリーがリングに登場した。
いかにも愛らしいスラィリーが、内藤に「お疲れさま」と「ありがとう」の想いを込めて駆け寄る光景は、ファンにとってもたまらないサプライズだった。
内藤とカープの関係は、ファンから見てもすごすぎて(笑) 遠征先でもカープ戦の結果を常に気にしており、、彼にとってカープは故郷(東京)と同義なのかもしれない。
だからこそ、この広島大会、そしてスラィリーからの祝福は、単なるパフォーマンスではなく、彼自身の人生とプロレス人生が交錯する、特別な時間となったに違いない。
残されたシリーズも、もうわずか。だが、内藤哲也は最後の瞬間まで、決して未来に焦点を合わせることなく、目の前の一試合一試合「今」に全力を注ぐだろう。
本日の広島大会も、沢山のお客様にご観戦いただき誠にありがとうございました!
— 新日本プロレスリング株式会社営業部 (@njpw_nyao) April 26, 2025
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なぜなら、彼が体現してきた「制御不能」とは、計算された未来図ではなく、今を全力で生きる姿そのものだからだ。
改めて思う。未来を憂うのではなく、過去に縋るのでもなく。ただ、今この瞬間を生きる。それこそが、内藤哲也という稀代のカリスマが、プロレスというリングで私たちに教えてくれた大きなメッセージかもしれません。