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【スターダム】中野たむ引退!純白に燃え尽きたさよならの向こう側

スターダム
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真っ白な灰になったのか

── 2025年4月27日、横浜アリーナ。中野たむは上谷沙弥に敗れ、全てを出し尽くし、そして鮮烈にリングを去った。

 

たむを象徴する色といえば、「バイオレット」。深く、優しく、そしてどこか痛ましい紫──そのイメージが、誰よりも強く心に刻まれている。


けれど、最後のたむは、白を基調としたなコスチュームを纏っていた。まるで、生まれたての無垢な魂のように、すべてを燃やし尽くし、白い灰になってこの世界から羽ばたこうとしているかのようだった。

 

赤いベルトも、白いベルトも、その手に抱いた中野たむでしたが、最期には、勝敗も栄光も、すべてを超えた場所へたどり着こうとしていたのだろうか。


あの矢吹丈が、全力で燃え尽きて真っ白な灰になったように、誰にもすがらず、誰にも寄りかからず、ただ自分だけの美学を貫いて。

 

たむには、バイオレットスクリュードライバー(VSD)、トワイライトドリーム等のオリジナル技があるが、、私が何よりも好きだったのはバイオレットシューティング。


リングに舞うヒラヒラとしたフリルやコスに、その流麗な動きから放たれる膝蹴りは、まるで一片の天使のようだった。


彼女の動きは、単なる技の集合ではなく、一つ一つが、哀しみと歓喜を織り交ぜた、ひとつの詩だった。

 

結果、引退試合となった試合後、中野たむは試合後の会見も、翌日の記者会見にも現れなかった。


ある意味、その背中で、すべてを語るような、それは、どんな雄弁な言葉よりも深く、私たちの胸を打った。

 

しかし、これまでの歴史が教えてくれるのは、どれほど感動的な引退劇であっても、ほとんどのトップ選手は、やがてまたリングに戻ってくる。


それが悪いことだとは思わないし、戦う者たちは、闘いの場所に引き寄せられる宿命を背負っている。


中野たむはどうなのだろう、先人たちのように復帰を選ぶのか、山口百恵や安室奈美恵のように、永遠に神話となって人前から姿を消してしまうのかもしれない。

メルティアの相棒であり、コズミック・エンジェルズの仲間だったなつぽいのせつなすぎる想いは、たむを好きだったすべての者たちの気持ちそのもののような。

 

かつて中野たむは、インタビューで、父が事業を営んでいると語っていたと記憶しており、彼女はリングの外で、また別の夢を叶えていくのだろうか。


いつか、ビジネス誌の片隅に、中野たむの名を見つける日が来るかもしれない。


・・・狂おしいほどに何かを愛し、求め、諦めきれずに挑み続ける、その美しさを中野たむは、そのすべてで持って、身をもって示してくれた。

 

彼女は、試合に勝つためだけにリングに上がったのではなく、自分自身を懸けて、自分という存在のすべてを、あの四角いリングに刻みつけてきた。


その軌跡は、記録では測れない、たむが遺したのは、一瞬のきらめき、一瞬の狂おしさ、そして、一瞬の永遠だった。

たむは真っ白な灰になったのか。
──いいや、違うだろう。

 

誰に知られなくてもいい、誰に称えられなくてもいい。ただ、確かに存在し、私たちの胸の奥に、消えることのない火を灯し続ける。


中野たむは、ファンの心に生き続け、真っ白な輝きを紡ぎ続けてくれたのだ。