ダークホースだった蝶野正洋
新日本プロレスの真夏の最強決定戦「G1 CLIMAX」は、2024年でついに第35回目を迎える。
その長い歴史には、幾多の激闘、幾多の歓喜、そして幾多の記憶に残る名シーンが刻まれてきた。
プロレスファンにとって、G1は単なるトーナメント、リーグ戦ではない。
それは、男たちの意地と覚悟がぶつかる“格闘技の祭典”であり、一瞬一瞬が伝説になりうる舞台なのだ。ここでは、これまでの大会で生まれた印象深い名場面を振り返っていこう。
白い蝶野の衝撃──第1回決勝のフィニッシュ
すべての始まりは1991年。記念すべき第1回G1 CLIMAX決勝戦。
決勝戦に駒を進めたのは、若き日の蝶野正洋だった。そして、何よりも衝撃的だったのは、その勝利を決定づけたフィニッシュムーブである。
蝶野が放ったのは、武藤敬司にまさかのパワーボム──しかも、まだ“白い蝶野”が、である。普段はあまり見せることのない技で勝負を決めたその瞬間、場内は熱狂と驚きに包まれた。
後にも先にも、蝶野が公式戦でパワーボムを決めた姿はこの試合以外で見た記憶がない。
何十年も経て、武藤敬司の引退試合エクストラで、二人が相まみえるのだから、闘魂三銃士、G1MLIMAXのヒストリーを知っているファンには忘れられない。
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— 蝶野正洋【公式】 MasahiroChono (@masahirochono) June 15, 2025
だからこそ、プロレスファンの脳裏には鮮烈に焼き付いているのだ。
リック・ルードとの激闘──第2回大会
続く第2回大会では、アメリカから来日した大物レスラー、リック・ルードとの対戦が記憶に残る。
ここで蝶野が決めたのは、ダイビングショルダータックル。
蝶野の重厚なジャンプとぶつかり合うような衝撃音が響いた瞬間であり、第1回に続いて、STFではない、大技で勝負を決めた。
当時、国際色を強めつつあった新日本の中で、蝶野は間違いなく“トップ選手への階段”を駆け上がり、世界のNWAベルトを巻いた数少ない日本人の一人となった。
掟破りの逆サソリ──藤波辰爾の逆襲
第3回G1では、藤波辰爾が馳浩に見せた「掟破りの逆サソリ」が話題をさらった。
これは、馳の代名詞ともいえる“逆さ四の字”を、まさにその馳本人に仕掛けたという“心理戦”の勝利でもあった。
政治家としても活動していた馳への賛否はあるにせよ、プロレスラーとしての彼の技術に藤波が真っ向からぶつかり、しかもその“持ち技”で勝負を決めたのだから、
実にドラマチックな場面である。
また同じく藤波の名場面としては、橋本真也に放った裏投げも印象深い。
無骨なぶつかり合いの中で一瞬の隙を突いたその一投に、プロレスの美学が凝縮されていた。
武藤敬司、覚醒の宣言──第5回大会
第5回大会では、優勝した武藤敬司の“名言”がプロレスファンの胸を打った。試合後、G1のチャンピオンガウンを羽織った武藤が放ったのは、あの一言。
「武藤敬司は、驀進(爆進)します!」
この言葉を皮切りに、天才はG1覇者としての自覚を高め、以後の新日本を象徴するレスラーのひとりとなっていく。
10.9全面対抗戦もこの年だった
夕方放送に刻まれたG1──中西学のアルゼンチン
第何回大会かは記憶が曖昧だが、夕方のテレビ放送で観たという記憶と共に、多くのファンの脳裏に焼き付いているシーンがある。
それは中西学が武藤敬司をアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げ、優勝を勝ち取った瞬間だ。
無骨で豪快、そして一本気──中西のレスリングスタイルが、そのまま絵になったような一瞬だった。地味ながらも“G1優勝者”という勲章を掴んだ彼に、多くのファンが拍手を送った。
天山広吉の意地──秋山準を破った一戦
かつては「外敵」として新日本マットを荒らした秋山準。そんな秋山を破り、優勝を果たしたのが“暴走キングコング”こと天山広吉だった。
新日本一筋で戦い抜いてきた天山が、外敵を相手に堂々たる勝利を収めたこの試合は、多くのファンの心に“新日本魂”を再認識させた。
それだけに、ただでさえ、試合数は激減、しかも折角、カードが決まっても怪我や体調不良で欠場し、痩せ細った猛牛は見ていられない。
新日本プロレスは、中西や飯塚のときのように、通告したほうがいいのではないか。
制御不能なカリスマ──内藤哲也の2度目の栄光
そして、比較的近年の名場面として語られるのが、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの“制御不能なカリスマ”内藤哲也の2回目の優勝である。
試合後、トロフィーを手にした内藤は、リング中央でゆっくりとポーズを決める。
その姿には、ファンとの時間を大切にする哲学がにじんでいた。単なる優勝ではなく、“G1という舞台で何を見せるか”にこだわった男の美学が表れた瞬間だった。
そして、第35回大会へ
こうして振り返るだけでも、G1 CLIMAXにはこれほどまでに多くの名場面が存在する。
まさに“プロレスの真髄”が、毎年この夏に凝縮されてきたと言っても過言ではない。
【あと3日!】
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) July 1, 2025
7月4日(金)18:30~東京武道館大会
※第0は18:00開始
・メインは“GLOBALヘビー王座戦”ゲイブvs棚橋!
・“NEVER6人タッグ”成田&裕二郎&SHOvs矢野&YOH&ワト!
・『G1』出場者決定戦
YOSHI-HASHIvsチェーズ!小島vs大岩!
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そして、昨今では、G1出場までの、本戦出場者決定戦も行われている。
果たして、第35回大会では、誰が新たな歴史を刻むのか。
誰の勝利がファンの記憶に残る“名場面”となるのか──。
今からその瞬間を目撃できると思うと、ワクワクが押し寄せてくるようで要注目しかない!!